電光掲示板プロジェクトの詳細

メディアにより異なる形態を持つ情報が、各メディア間で相互に入出力可能で あれば、特定のメディアにしか流れていなかった情報を、多くのメディアに流 すことが可能となる。

そのために、以下のことを行う必要がある。

電光掲示板プロジェクトでは、メディアを電光掲示板に限って扱い、さまざま なメディアの情報を電光掲示板に表示するための設計を行なっている。

電光掲示板による情報流通を行うには、以下の点について考察する必要があ る。

我々は、変換機構を実装するためには、変換される形式を明確にしなければな らないと考え、はじめに電光掲示板の制御部を実装した。

次に、情報形式の変換機構部の実装に着手した。

現在は、これから定義する抽象情報形式の設計に大きな影響を及ぼさないよう、抽象度の 低い形式を変換するよう実装されている。

他のメディアとの融合例として、FM文字多重放送とのリンク実験を行ってい る。

現在、FM文字多重放送から得られる文字による情報を取り出せるようになって いる。 また、取り出した文字情報を電光掲示板に表示させる実験を行っている。

FM文字多重放送の正式名称は「移動受信可能なFM文字多重放送」である。 FM文字多重放送とは、通常のステレオ音声放送の他に、音声や文字、図形など を多重した放送形態の一つである。 FM文字多重放送には以下に示す3つのレベルがある。

[レベル1]
本文(15文字$\times$2)およびヘッダ行の表示ができる受信機に向けたサービスで 文字による情報が中心である。 図形は、パターン図形を用たもののみ送信可能。
[レベル2]
本文(15.5文字$\times$8)およびヘッダ行の表示ができる受信機に向けたサービス である。 図形はパターン図形の他にジオメトリックによる図形\footnote{線分、 円弧などのコマンドにより図形を描画するもの}も送信できる。
[レベル3 ]
レベル1、レベル2に示した文字や図形のサービスとは異なり、 CD-ROMによる地図の表示ができる受信機に向けて交通情報データ のサービスを行うものである。

現在、エフエム東京で行われている放送はレベル1である。 今回の実験では、(株)日出ハイテックのVR-Aを使用した。 このVR-AはRS-232c経由でコマンドを送信することによってレシーバの周波数、 音量、FM多重放送のデータの送信等をコントロールできるFM文字多重放送受信機 である。


NODA Akio <noda@is.titech.ac.jp>
Last modified: Tue Aug 27 12:13:17 1996