PICKLES TERMINAL SPECIFICATION (1996)

1. INTRODUCTION

この文書は、PICKLES端末の仕様を示したものである。PICKLES端末は東京工業 大学大野研究室で行なわれているPICKLESプロジェクトで開発している端末で、 インターネットを利用するための公衆端末として利用を念頭において開発され たものである。管理の容易さから、公衆端末としてのみならず、広く利用者向 け端末としても有益である。なお、この仕様は1996年に制定したものであり、 将来変更される可能性がある。

2. AT A GLANCE

部品		class	条件
CPU		B	Pentium class	90MHz相当以上
memory		B	32MB以上
BIOS		B	IDE HDD容量の自動検出が可能なもの
MotherBoard	B	
2ndCache	D	256KB以上推奨
拡張バス	B	PCI/ISA
ChipSet		D	
VideoCard	B	AccelaratedXまたはXFree86で
			利用可能で、1152x864以上の解像度
			で65536色以上の表示が可能なもの。
HDD		A	WesternDigital製の540MB以上の容量のものを2台搭載する。
FDD		D	3.5" 2HD 2mode
PCMCIA		A	Wildboarで利用可能なもの
SerialPort	B	16550A互換のもの。2ポート
PararelPort	B	EPP利用可能なもの。1ポート
IDE Interface	D	PCI接続のもの
HDD Case	A	指定機種を用いる
PC Case		D	5インチベイが二つ。3.5インチベイが一つ以上。
電源		D	
CD-ROM		D	特に必要なし
FaxModem	C	データ通信28.8Kbps以上のFaxModem
			HylaFaxで利用可能なもの。
PointingDevice	D	3ボタンのマウスまたはトラックボール
KeyBoard	B	101/104キーボード
Soundcard	B	 SoundBlaster16。Plug and Play 非対応のもの。
EthernetCard	B	ISAまたはPCI。BSD/OSで利用可能なもの。
Display		D	21インチサイズ。1152x864ドットの
			解像度がリフレッシュレートxx以上で利用可能なもの。
Speaker		D 
Microphone	D 

classとは以下の4種類である。
class A 絶対にこのメーカのこの型番でなければならないもの
class B メーカー型番不問だが、条件を要するもの
class C メーカー型番不問だが、設計変更を行う必要があるもの
class D メーカー型番はまったく不問

3. SPECIFICATION

3-1. BASIC REQUIREMENT

  ARCHITECTURE
IBM-PC/AT アーキテクチャを先祖とした、いわゆるAT互換機を用いる。

  CPU
Intel社Pentium 90MHzよりも高速なものである必要がある。
これは利用者に対して端末の処理能力が低いことによって、ネットワーク
自体に対して誤った認識を与えないためである。
また他社のPentium互換CPUについても、BSD/OSで動作が確認されているものは
利用可能である。

  MEMORY 
32MB以上必要。可能であればEDO-RAMを推奨する。
2次キャッシュはSRAM 256KB以上(可能であればPB-SRAM)を推奨する。

  MOTHERBOARD
特に指定はない。
ATX準拠のもので電源の制御ができるものを推奨する。

  BIOS
IDE HDDのパラメータを自動的に検知してくれるものが必要。
APM BIOSについては version1.1以上を推奨。
次にあげる項目が設定可能である必要がある。
 ・ PCIのボードが利用するIRQ
 ・ ISAバスのボードが利用するIRQ

  CHIPSET

  CASE
ATX準拠の電源が利用できる場合は可能な限り利用する。5インチベイが二つ以
上、3.5インチベイが一つ以上ある必要がある。さらにCD-ROMやPCMCIAスロッ
トを本体に内蔵する場合は、必要なだけのスロットを追加する。背面部拡張ス
ロットはシリアル、パラレル、キーボード、PS/2などを除くと5つ以上必要で
ある。

  ハードディスク用の引出し型ケース
SI-115Aを用いる。

3-2. BUSES

ISA サウンドカード、PCMCIAインタフェース、モデムカード、Ethernetカードの がISAバスに接続される。PCI接続のEthernetカードを用いる場合は、これを 除く3種類になる。 PCI ビデオカードがPCIバスに接続される。PCI接続のEthernetカードを用いる場合は、 これら2種類がPCIバスに接続される。 ATA マスターとスレイブにハードディスクを一台ずつ接続する。ATAPI CD-ROMを 接続する場合は、セカンダリのIDEコントローラのマスターに接続する。 PCMCIA PCMCIA TypeIIのカードが一台以上利用可能であることを推奨する。 PCMCIAコントローラはWildboarで利用可能なものである必要がある。

3-3. DEVICES

SERIAL 16550相当のシリアルコントローラを利用し、2ポート以上利用可能である 必要がある。 PARALLEL EPP利用可能なものを推奨する。

3-4. INPUT DEVICES

KEYBOARD ATまたはPS/2のキーボードが一台必要である。 101キーボードを推奨する。 POINTING DEVICE シリアルまたはPS/2のインタフェースで接続された、3ボタンのマウスまたは トラックボールを一台必要とする。 Accelarated-XかXFree86で3ボタンが利用可能である必要がある。 キーボードがPS/2である場合は、ポインティングデバイスもPS/2に統一することを 推奨する。 PS/2インタフェースはBSD/OSで安定して利用可能である必要がある。 注) 一部の製品で、PS/2が安定して利用できないものがあるという 報告をうけている。

3-5. GRAPHIC ADAPTERS AND DISPLAYS

GRAPHIC ADAPTER Accelarated-X (version1.2)で 1152ドット×864ドット以上の解像度で 65536色以上表示可能なものである必要がある。またこのときの リフレッシュレートが 以上であることを推奨する。 この条件を満たすコントローラとしては以下のものが挙げられる。 DISPLAY 多くの人が同時にのぞきこみながら利用することを想定して、 21インチのマルチシンクのモニターを推奨する。 1152ドット×864ドットの解像度で

3-6. AUDIO

AUDIO DEVICE 全二重16bitPCMの入出力が可能である必要がある。またPlug and Playに 対応していないものである必要がある。 SPEAKER ステレオスピーカ MICROPHONE モノラルマイクロフォン

3-7. STRAGES

FLOPPY DISK 3.5インチ2モード(1.44MB/720KB)のフロッピーディスクドライブの一台搭載する。 HARD DISK 540MB以上の容量のドライブを2台搭載する。WesternDigital社製のドライブを 推奨する。

3-8. COMMUNICATION DEVICES

MODEM データ通信28.8Kbps以上のFAXモデムを搭載する。 内蔵のものでI/OポートとしてCOM3,COM4に対応するもの、IRQ 9を選択 可能なものを推奨する。 データ通信33.8Kbps以上のVoice/FAX modemを推奨する。この場合コントロール チップとしてRockwellの*****を採用(またはこれと完全互換のチップを採用している 必要がある) ETHERNET 10BASE-TのポートをもつEthernetカードを搭載する。 Plug and Playに対応していないもの、または無効にできるものである必要が ある。ISAバスでもPCIバスでも構わないが、BSD/OSで利用できるもの。現在の ところ以下のカードが挙げられる。

4. SAMPLE CONFIGURATION

4-1. STANDARD KIOSK

もっとも一般的なキオスク型の端末の参照機に用いられている機器構成は
以下のようになっている。
CPU		Pentium90MHz
memory		32MB
BIOS		Phoenix
MotherBoard	Micronics M54Pi
2ndCache	SRAM 256KB
バス		PCI*3,ISA*4
ChipSet		
VideoCard(Chip)	S3 86C968
       (RAMDAC) IBM
HDD		WD2540 *2
FDD		3.5" 2HD/2DD 2mode
PCMCIA		Bullion II
Serial		マザーボード付属
Pararel		マザーボード付属
IDE		マザーボード付属
HDD Case	SI-115A * 2
PC Case		フルタワー。3.5"ベイ*1,5"ベイ*3
電源		300W ATタイプ
CD-ROM		なし
FaxModem	PRAGMATIC H1428
PointingDevice	Genius EasyTrak (3ボタン トラックボール)
KeyBoard	101キーボード (スピーカ、マイク内蔵型)
Soundcard	SoundBlaster16 /V
EthernetCard	SMC ElitePlus16T
Display		NANAO 77F
Speaker		キーボード内蔵
Microphone	キーボード内蔵

4-2. DESKTOP

4-3. NOTEBOOK

PICKLES端末の設計コンセプトを反映させたNOTE BOOKの構成は示す。 標準のキオスク型の端末との主な相違点は以下のものである。 ・ ディスプレイの大きさ ・ ディスプレイの解像度 ・ ハードディスクが一台である点 ・ EthernetやFAX MODEMはPCMCIAカードとして供給される点 ・ 場合によってはFDDは内蔵されない点 PICKLES仕様のNOTE BOOKのサンプルは次のような構成になっている。 TOSHIBA PORTAGE 620CT CPU Pentium100MHz memory 24MB 2ndCache SRAM 256KB バス PCI*3,ISA*4 ChipSet VideoChip Chips&Technology 65548 HDD E-IDE 1.5GB FDD 3.5" 2HD/2DD 2mode 外付け PCMCIA 本体内蔵 Serial 本体内蔵 Pararel 本体内蔵 IDE 本体内蔵 CD-ROM なし FaxModem PCMCIA PointingDevice IBMのトラックポイントみたいなやつ KeyBoard TOSHIBA変則キーボード Soundcard 内蔵SB互換 EthernetCard 3C589D PCMCIA経由 Display 本体内蔵 12.1" TFT 800x600 Speaker 本体内蔵 Microphone 外付け

5. RESOURCE ASSIGNMENT

5-1. IRQs

標準的なIRQの割り当ては以下の通りである。

	0	内蔵タイマ
	1	キーボード
	2	カスケード
	3	COM2(tty01)
	4	COM1(tty00)
	5	SoundBlaster16
	6	FDD
	7	Parallel
	8	RTC
	9	内蔵MODEM
	10	Ethernet
	11	PCMCIA
	12	PS/2
	13	数値演算プロセッサ
	14	primary IDE
	15	secoundary IDE

ただしこれではPCMCIAのカードに割り当てるIRQがないので以下の対策をとる。
1. PS/2マウスを用いる場合
	内蔵モデムをCOM2にするか、外付けモデムをCOM2に接続する
	PCMCIAのカードをIRQ12に割り当てる
2. シリアルマウスを用いる場合
	PCMCIAをIRQ12に割り当てる
	シリアルポートのあきが必要なければ、モデムをCOM2に割り当てても良い。
3. 内蔵MODEMを用いない場合
	IRQ 9をPCMCIAで利用可能

5-2. I/O ADDRESSES

標準的なI/Oポートの割り当ては次の通りである。 0x0000-0x000f DMAコントローラ 0x0020-0x0021 割り込みコントローラ 0x002e-0x002f 82306 0x0040-0x0043 タイマ 0x0060 キーボード(データ) 0x0061 スピーカ 0x0064 キーボード(コマンド/ステータス) 0x0070(bit7) NMI有効 (bit6:0) RTC 0x0071 RTC (データ) 0x0080-0x008f DMA ページレジスタ 0x00a0-0x00a1 割り込みコントローラ 0x00b2-0x00b3 APM 0x00c0-0x00de DMAコントローラ 0x0170-0x0177 Secondary IDE 0x01f0-0x01f7 Primary IDE 0x0200-0x0207 (Joystick) 0x0220-0x022f (WSS) 0x0270-0x0273 (Plug and Play I/O) 0x0278-0x027b (Parallel 2) 0x02e8-0x02ef (COM4) 0x02f8-0x02ff COM2 0x0330-0x331 MIDI(MPU401) 0x0376 Secondary IDE Command 0x0377 Secondary IDE Status 0x0378-0x37f パラレルポート 0x0388-0x038b OPL(WSS) 0x03e0 PCIC (Vadem468) 0x03e8-0x03ef (COM3) 0x03f0-0x03f5 FDD 0x03f6 Primary IDE Command 0x03f7 FDD Command 0x03f7(bit7) FDD DISK CHANGE 0x03f7(bit0:6) Primary IDE Status 0x03f7-0x03ff COM1 追加デバイスは次の設定を推奨する 3C509 0x250 SMC Elite16 0x300 NE2000 0x340 0x300 RE2000 0x340 0x300 (FMV183)

5-3. DMA

標準的なDMAチャンネルの割り当ては次の通りである。 0 1 SB PRO 2 FDD 3 4 Cascade 5 SB16 6 7

5-4. BAYS

最低一つの3.5インチベイと二つの5インチベイを必要としている。 3.5インチベイにはフロッピーディスクドライブを格納する。 二つの5インチベイにはそれぞれハードディスクケースが格納される。

5-5. SLOTS

拡張スロットは以下のような構成で用いられる。

6. CONCLUSION

APPENDIX A. HOW TO BUY A NEW TERMINAL

APPENDIX B. OPTIONAL DEVICES

B-1. VIDEO INPUT

画像の入力装置として、Connectix社のQCAMを利用する。これはparallelポートに
接続するタイプのカメラである。

B-2. IrDA

IrDAの入出力を行なうために、シリアル接続型のIrDAインタフェースを用いる。

B-3. MIDI

SoundBlaster搭載のMIDIインタフェースを利用する。

B-4. BARCODE READER

キーボード接続型、シリアル接続型のインタフェースユニットを利用する。

B-5. MAGNATOCARD READER

キーボード接続型、シリアル接続型のインタフェースユニットを利用する。

Masahiko Kimoto <kimoto@is.titech.ac.jp>
Last modified: Fri Nov 28 02:20:42 1997