PICKLES 端末仕様書

PICKLES 端末仕様書 (PICKLES-TERMINAL-SPECIFICATION-1998)

1. はじめに

この文書は、PICKLES端末の仕様を示したものである。PICKLES端末は東京工業 大学
大野研究室で行なわれているPICKLESプロジェクトで開発している端末で、 インター
ネットを利用するための公衆端末として利用を念頭において開発され たものである
。管理の容易さから、公衆端末としてのみならず、広く利用者向 け端末としても有
益である。なお、この仕様は1998年に制定したものである。この仕様書は
PICKLES SYSTEM 2.00での利用を前提にしている。

2. 基本仕様

部品            条件
CPU             Pentium class   90MHz相当以上
memory          32MB以上
BIOS            IDE HDD容量の自動検出が可能なもの
HDD             標準仕様:
			EIDE仕様のハードディスク2台をそれぞれ脱着可能な
			ケースに格納する。容量はともに1GB以上
		ノートブック仕様:
			EIDE仕様のハードディスクを1台搭載する。容量は
			1.6GB以上
HDDケース	脱着可能なHDDケースを2台搭載
FDD             3.5" 2HD 2mode
PointingDevice  3ボタンのマウスまたはトラックボール
KeyBoard        101キーボード
Soundcard       SoundBlaster16相当
EthernetCard    100BASE-T または 10BASE-Tを搭載
PCMCIAスロット	TypeIIIのカードを一枚以上つかえるPCMCIAスロットを搭載する
シリアルポート	16550A互換のもの。2ポート
パラレルポート	双方向パラレルポート。1ポート
ビデオカード	標準仕様: 
			1152x864 ドット以上の解像度で65536色以上同時表示
		ノートブック仕様:
			640x480 ドット以上の解像度で65536色以上同時表示
本体ケース	5インチベイ	二つ以上 (HDD用)
		3.5インチベイ	一つ以上(FDD用)
電源		ATもしくはATX電源
Faxmodem	FAX 14.1Kbps/DATA 28.8Kbps 以上の速度が利用できるfaxmodem
拡張スロット	上記のデバイスをすべてできること
スピーカ	ステレオスピーカを搭載する
マイク		マイクを搭載する
ディスプレイ	

3. 詳細仕様

3-1. BASIC REQUIREMENT

アーキテクチャ
	IBM-PC/AT アーキテクチャを先祖とした、いわゆるAT互換機を用いる。

CPU
	Intel社Pentium 90MHzよりも高速なものである必要がある。
	これは利用者に対して端末の処理能力が低いことによって、ネットワーク
	自体に対して誤った認識を与えないためである。
	また他社のPentium互換CPUについても、BSD/OSで動作が確認されているものは
	利用可能である。

メモリ
	32MB以上必要。可能であればEDO-RAMを推奨する。
	2次キャッシュはSRAM 256KB以上(可能であればPB-SRAM)を推奨する。

マザーボード
	特に指定はない。
	ATX準拠のもので電源の制御ができるものを推奨する。

BIOS
	以下の機能を持つ
	  ・IDE HDDのパラメータを自動検出する。
	  ・APM BIOSについては version1.1以上
	  ・PCIのボードが利用するIRQを指定可能
	  ・ISAバスのボードが占有するIRQを明示的に指定可能
	  ・シリアルなどの内蔵デバイスの有効/無効を指定可能

ケース
	ATX準拠の電源が利用できる場合は可能な限り利用する。5インチベイが二つ以
	上、3.5インチベイが一つ以上ある必要がある。さらにCD-ROMやPCMCIAスロッ
	トを本体に内蔵する場合は、必要なだけのスロットを追加する。背面部拡張ス
	ロットはシリアル、パラレル、キーボード、PS/2などを除くと5つ以上必要で
	ある。

ハードディスク用の引出し型ケース
	SI-115Aを用いる。

3-2. バス

ISA
	現時点ではサウンドカード、PCMCIAインタフェースがISAバスに接続
	される。またモデムカード、EthernetカードをISAバスに接続する場合、
	その分のスロットが必要になる。

PCI
	ビデオカードがPCIバスに接続される。PCI接続のEthernetカードを
	用いる場合は、その分のスロットが必要になる。

ATA
	EIDEインターフェースを搭載する必要がある。
	標準で搭載する2台のハードディスクは、プライマリインタフェースの
	マスターとスレイブに接続する。ATAPI CD-ROMを接続する場合は、
	セカンダリのIDEコントローラのマスターに接続する。

PCMCIA
	PCMCIA TypeIIIのカードが一台以上利用可能であることを推奨する。
	PCMCIAコントローラはBSD/OS 3.0で利用可能なものである必要がある。
	IRQとI/Oを以下の値に固定できるもの(Plug and Play不可)。
	 IRQ: 10,11
	 I/O: 


3-3. デバイス

シリアル
	16550A相当のシリアルコントローラを利用し、2ポート以上利用可能である
	必要がある。

パラレルポート
	EPP利用可能なものを推奨する。

3-4. 入力デバイス

キーボード
	ATまたはPS/2のキーボードが一台必要である。
	101キーボードを推奨する。

ポインティングデバイス
	シリアルまたはPS/2接続の、3ボタンのマウスまたは3ボタントラックボール
	を一台搭載する。
	Accelarated-XかXFree86で3ボタンが利用可能である必要がある。
	キーボードがPS/2である場合は、ポインティングデバイスもPS/2に統一
	することを推奨する。
	PS/2インタフェースはBSD/OSで安定して利用可能である必要がある。
	注) 一部の製品で、起動時にPS/2が正しく初期化されないものがあるという
	    報告をうけている。

3-5. 画面出力

グラフィックカード
	デスクトップ:
	  Accelarated-X (version3.0)またはXFree86 3.2.2で以下の条件を
	  満たして利用できるもの
	     ・ 1152ドット×864ドット以上の解像度
	     ・ 65536色以上
	ノートブック:
	  Accelarated-X (version3.0)またはXFree86 3.2.2で以下の条件を
	  満たして利用できるもの
	     ・ 640×480ドット以上の解像度
	     ・ 65536色以上

ディスプレイ
	デスクトップ:
	  15インチ以上の大きさで、1152×864ドット(ノンインターレス)で
	  表示可能なもの。多くの人が同時に利用する場合21インチのものを
          推奨する。
	  VGAの表示も可能なマルチシンクのもの。
	ノートブック:
	  グラフィックカードの機能に応じた表示能力を持つ液晶ディスプレイ

3-6. オーディオ

オーディオカード
	SoundBlaster 16相当のもの。
	全二重16bitPCMの入出力が可能である必要がある。
	  - Plug and Playを利用しないカードである必要がある

スピーカ
	ステレオスピーカを搭載する

マイクロフォン
	モノラルマイクロフォンを搭載する

3-7. 記録媒体

フロッピーディスク
	3.5インチ2モード(1.44MB/720KB)のフロッピーディスクドライブの
	一台搭載する。

ハードディスク
	EIDE仕様のドライブを2台搭載する。
	一台の容量は1GB以上。

3-8. 通信デバイス

モデム
	データ通信28.8Kbps以上のFAXモデムを搭載する。
	外付けモデムの場合:
		COM2に接続する
	内蔵モデムの場合:
		COM2に設定可能

Ethernetカード
	100BASE-Tもしくは10BASE-TのEthernetカードを搭載する。
	ISAまたはPCIのカードでBSD/OS 3.1で利用できるもの。

4. SAMPLE CONFIGURATION

4-1. STANDARD KIOSK

もっとも一般的なキオスク型の端末の参照機に用いられている機器構成は
以下のようになっている。
CPU             Pentium90MHz
memory          32MB
BIOS            Phoenix
MotherBoard     Micronics M54Pi
2ndCache        SRAM 256KB
バス            PCI*3,ISA*4
ChipSet
VideoCard(Chip) S3 86C968
       (RAMDAC) IBM
HDD             WD2540 *2
FDD             3.5" 2HD/2DD 2mode
PCMCIA          Bullion II
Serial          マザーボード付属
Pararel         マザーボード付属
IDE             マザーボード付属
HDD Case        SI-115A * 2
PC Case         フルタワー。3.5"ベイ*1,5"ベイ*3
電源            300W ATタイプ
CD-ROM          なし
FaxModem        PRAGMATIC H1428
PointingDevice  Genius EasyTrak (3ボタン トラックボール)
KeyBoard        101キーボード (スピーカ、マイク内蔵型)
Soundcard       SoundBlaster16 /V
EthernetCard    SMC ElitePlus16T
Display         NANAO 77F
Speaker         キーボード内蔵
Microphone      キーボード内蔵

4-2. DESKTOP

4-3. NOTEBOOK

PICKLES端末の設計コンセプトを反映させたNOTE BOOKの構成は示す。
標準のキオスク型の端末との主な相違点は以下のものである。
・ ディスプレイの大きさ
・ ディスプレイの解像度
・ ハードディスクが一台である点
・ EthernetやFAX MODEMはPCMCIAカードとして供給される点
・ 場合によってはFDDは内蔵されない点

PICKLES仕様のNOTE BOOKのサンプルは次のような構成になっている。

TOSHIBA PORTAGE 620CT
        CPU             Pentium100MHz
        memory          24MB
        2ndCache        SRAM 256KB
        バス            PCI*3,ISA*4
        ChipSet
        VideoChip       Chips&Technology 65548
        HDD             E-IDE 1.5GB
        FDD             3.5" 2HD/2DD 2mode 外付け
        PCMCIA          本体内蔵
        Serial          本体内蔵
        Pararel         本体内蔵
        IDE             本体内蔵
        CD-ROM          なし
        FaxModem        PCMCIA
        PointingDevice  IBMのトラックポイントみたいなやつ
        KeyBoard        TOSHIBA変則キーボード
        Soundcard       内蔵SB互換
        EthernetCard    3C589D PCMCIA経由
        Display         本体内蔵 12.1" TFT 800x600
        Speaker         本体内蔵
        Microphone      外付け

5. RESOURCE ASSIGNMENT

5-1. IRQs

標準的なIRQの割り当ては以下の通りである。

        0       内蔵タイマ
        1       キーボード
        2       カスケード
        3       COM2(tty01)
        4       COM1(tty00)
        5       SoundBlaster16
        6       FDD
        7       Parallel
        8       RTC
        9       内蔵MODEM
        10      Ethernet
        11      PCMCIA
        12      PS/2
        13      数値演算プロセッサ
        14      primary IDE
        15      secoundary IDE

ただしこれではPCMCIAのカードに割り当てるIRQがないので以下の対策をとる。
1. PS/2マウスを用いる場合
        内蔵モデムをCOM2にするか、外付けモデムをCOM2に接続する
        PCMCIAのカードをIRQ12に割り当てる
2. シリアルマウスを用いる場合
        PCMCIAをIRQ12に割り当てる
        シリアルポートのあきが必要なければ、モデムをCOM2に割り当てても良い。
3. 内蔵MODEMを用いない場合
        IRQ 9をPCMCIAで利用可能

4-4. 動作確認済リスト

参考資料として大野研で実際に動作確認がとれている構成を以下に示す

部品            条件
CPU             Intel Pentium 90MHz 以上
		Intel MMX Pentium 120MHz 以上
		Intel PentiumII
memory          32MB以上
BIOS            Award/AMI/Phoenix 製のBIOS
		特にAward製のBIOSは設定の自由度が高く、推奨できる
HDD             
		WesternDigital社製, Seagate製, IBM製などのEIDEドライブ
HDDケース	
FDD             3.5" 2HD 2mode
PointingDevice  3ボタンシリアルマウス
		3ボタンPS/2マウス
KeyBoard        AT, PS/2 101キーボード
Soundcard       SoundBlaster16 non PnP
		SoundBlaster32 non PnP
EthernetCard    ISA:
			ne2000互換カード
			SMC Elite16
			3COM 3C509
		PCI:
			ne2000互換カード
			3COM 3C595, 3C905
			DEC 
		
PCMCIAスロット	Bullion II
		RATOC REX-5051FV
		TwinCabin
		EPSON DYO-211
ビデオカード	
		Matrox Millenium(2MB), MilleniumII(4MB)
		S3 Trio64V+(2MB), ViRGE/DX(2,4MB)
		S3 86C964(2MB), 86C968(2MB,4MB)
		ATI Mach64(2MB, 4MB)

電源		AT, ATX電源
Faxmodem	Microcom V.34ESII
		ISA 内蔵modem

5-2. I/O ADDRESSES

標準的なI/Oポートの割り当ては次の通りである。
        0x0000-0x000f   DMAコントローラ
        0x0020-0x0021   割り込みコントローラ
        0x002e-0x002f   82306
        0x0040-0x0043   タイマ
        0x0060          キーボード(データ)
        0x0061          スピーカ
        0x0064          キーボード(コマンド/ステータス)
        0x0070(bit7)    NMI有効
              (bit6:0)  RTC
        0x0071          RTC (データ)
        0x0080-0x008f   DMA ページレジスタ
        0x00a0-0x00a1   割り込みコントローラ
        0x00b2-0x00b3   APM
        0x00c0-0x00de   DMAコントローラ
        0x0170-0x0177   Secondary IDE
        0x01f0-0x01f7   Primary IDE
        0x0200-0x0207   (Joystick)
        0x0220-0x022f   (WSS)
        0x0270-0x0273   (Plug and Play I/O)
        0x0278-0x027b   (Parallel 2)
        0x02e8-0x02ef   (COM4)
        0x02f8-0x02ff   COM2
        0x0330-0x331    MIDI(MPU401)
        0x0376          Secondary IDE Command
        0x0377          Secondary IDE Status
        0x0378-0x37f    パラレルポート
        0x0388-0x038b   OPL(WSS)
        0x03e0          PCIC (Vadem468)
        0x03e8-0x03ef   (COM3)
        0x03f0-0x03f5   FDD
        0x03f6          Primary IDE Command
        0x03f7          FDD Command
        0x03f7(bit7)    FDD DISK CHANGE
        0x03f7(bit0:6)  Primary IDE Status
        0x03f7-0x03ff   COM1

追加デバイスは次の設定を推奨する

3C509           0x250
SMC Elite16     0x300
NE2000          0x340
                0x300
RE2000          0x340
                0x300 (FMV183)

5-3. DMA

標準的なDMAチャンネルの割り当ては次の通りである。

        0
        1       SB PRO
        2       FDD
        3
        4       Cascade
        5       SB16
        6
        7

5-4. BAYS

最低一つの3.5インチベイと二つの5インチベイを必要としている。
3.5インチベイにはフロッピーディスクドライブを格納する。
二つの5インチベイにはそれぞれハードディスクケースが格納される。
PCMCIAスロットをドライブベイに収容する場合は、その大きさに応じて3.5インチ
または5インチのベイを使用する。

6. おわりに


Masahiko KIMOTO <kimoto@is.titech.ac.jp>
Last modified: Thu Oct 22 08:35:45 1998