POPS: Package Of the PackageS for FreeBSD
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POPSの概要
POPSはFreeBSD用のパッケージ集であり、LinuxでいうところのDistribution
のようなものという説明が分かりやすいでしょう。*BSDの世界では、配付
パッケージには最低限のものだけしか用意されず、管理者が各自の必要に応じて
アプリケーションを追加していきます。これは初心者にとって予想外に大変
な作業であり、熟練した管理者にとっては煩わしい作業となります。初心者
にとっては、そもそも何をインストールすれば良いのか分からないかもしれ
ませんし、専門家にとっては同じ煩雑な作業を繰り返すことになります。
POPSはこのような問題を解消するために作られました。インストールに
必要なのはインストールスクリプトを実行するだけです。これだけで、
日常の業務に必要なアプリケーションがインストールされます。もちろん、
POPSは完全なものではありませんが、平均的なユーザ端末、サーバといった
用途には十分なものだと思われます。
POPSの目的とするところは、以下になります。
- 初心者向けの参照環境を提供すること。
- 多くの人にとって共通して使える環境を提供すること。
- 同じ環境の沢山のFreeBSD環境の複製を容易にすること。
逆に、目的としないことは以下になります。
- いつまでたっても初心者なままの初心者を製造すること。
- 「MS Windowsみたいなのが良い」と言って、見た目だけのGUI環境を
提供すること。
- これで金をざっくざっくと儲けること。
というところまでは能書きなのですが、実際の経験上の話しをしたいと
思います。portsは随時CVSupして新しい状態にして最新のアプリケーションを
インストールするのに便利です。packagesはFreeBSDのリリースに合わせて全部
make packageしたものが作られるので、それを持って来てごそっと入れるには
便利です。ところが、portsで次々にインストールしてってのを一年くらい
繰り返すと、「何となく動いてはいるけどすんげえ汚い」/usr/local/が出来上がり
ます。かといってpackagesは(FreeBSDのリリースエンジニアリングポリシーに
問題があるとも言えるが)、本体のリリース時に全てのpackageが安全で動作する
状態になっているとは限らなくて、場合によっては提供されないpackageもあり
ます。というわけで、一長一短なんだと思います。
私の経験上は、FreeBSD本体のリリース時にはpcakgesを使って全部のuserlandを
入れ替えて、その後はportsで必要に応じて更新するという方法をとるのが
ベストだと思います。だからやっぱり「必要なpackageをごそりとインストール
しなおす」というのが簡単に出来るのは嬉しいことです。
というわけなので、体力があるうちは細々と作って行こうかな、と。
インストール方法
POPSをインストールするためには、/usrパーティションに3.5GB程度以上の容量が
必要です。例えばFreeBSDを
X-userでインストールしてからPOPSを導入した場合、/usrの使用量は
3GBを弱干オーバーしました。
しかしこの場合、kernelのコンパイルも出来ないし、POPS以外のものが全く
入らないので、最低4GB以上を確保することをお勧めします。
- まずFreeBSD 4.9-RELEASEをインストールしてください
- この時、XFree86 4.3.0,1 は本体と一緒に配布されているものを
綺麗にインストールしてください。
- POPのパッケージ(通常はCD-ROMイメージ)を入手してください。
- 焼いたCD、またはCD-ROMイメージファイルをmountしてください。
- mountしたディレクトリに移動し、./installを実行してください。
パッケージ一覧
POPSには配付条件の問題から、いくつかの有益で重要なアプリケーションが含まれて
いません。例えば、RealPlayer, Flash Plugin for Netscape,
AcrobatReaderの日本語フォント, JDK 1.3,
qmail などが挙げられます。これらを使う場合は、各自portsからインストール
してください。POPSインストール後に行なった方が好ましい作業については、
追加ドキュメント
を参照ください。
配付
- POPS.2004.01.09.fbsd49 (for FreeBSD 4.9-RELEASE)の CD-ROM イメージ
にはバグ(パッケージリストファイルが空になっている)がありました。
- POPS.2004.03.29.fbsd49 (for FreeBSD 4.9-RELEASE)の CD-ROM イメージは
こちらです(618MB)。
MD5 (pops-20040329-fbsd49.iso) = c196bb34b06a4e3258893ba498888fc1
Changes for FreeBSD 4.9-RELEASE
FreeBSD 4.9-RELEASE対応版の
POPSインストール後に行なった方が良い作業の注意書きはこちらになります。
- Acrobat Readerが5になりました。
- FreeBSD 4.9-RELEASEがリリースされた時点では多くパッケージが
正しく作成できなかったので、適宜最新版にして作りなおしました。
[注意]
- Cannaの辞書がマウントできない場合は、頻度辞書を作りなおして
みてください。mkdic -fq iroha など。
- dvipdfmでPDFを作ろうとしてmktexpkがエラーを出す場合は、
/usr/local/share/texmf/dvipdfm/config/config の末尾に
f cid.map を追加してみてください。
- 代替東風フォントじゃないTrueTypeフォントを使いたい場合は、以下の
点を修正してください。
- /usr/local/share/VFlib/2.25.6/vfontcapの中のmin:とgoth:の行を
適宜truetypeを使うように直してください。
- /usr/local/share/ghostscript/7.07/lib/CIDFnmap.jp の 先頭の
TrueTypeフォントのパスを適宜直してください。
- /usr/X11R6/lib/X11/fonts/TrueType/{fonts.dir, fonts.alias}を
適宜直せばXのフォントも変わりますが、まあXのフォントは東風でも
いいかなとか思ったり。
Changes for FreeBSD 4.8-RELEASE
FreeBSD 4.8-RELEASE対応版から、
POPSインストール後に行なった方が良い作業の注意書きを作成しました。
このドキュメント
は配布パッケージに含まれているので、インストール前後に必らず目を通して
ください。POPS(FreeBSD一般としても)を快適に使うためのTIPSが書かれています。
FreeBSD 4.8-RELEASE対応版では以下を変更しました。
- インストール後の注意書きドキュメントを追加しました。
- 標準ブラウザをMozilla 1.2にしました。
- 機能が重複しているアプリケーションの整理を行ないました。例えば
ムービープレイヤーはmplayerのみにしてあったりします。
[注意] POPS.2003.05.06.fbsd48のドットファイルのスケルトンの一部に
誤りがあります。以下の修正を加えて下さい。
/usr/share/skel/dot.cshrc:
誤: setenv LANG ja_JP.EUC
正: setenv LANG ja_JP.eucJP
誤: setenv XMODIFIERS="@im=kinput2"
正: setenv XMODIFIERS "@im=kinput2"
/usr/share/skel/dot.xinitrc:
誤: LANG=ja_JP.EUC
正: LANG=ja_JP.eucJP
[注意2] POPSに含まれている東風フォントにライセンス的問題が発覚
しました。現在東風フォントの配布サイトでは公開を停止しています。
POPSはFreeBSDの配布サイトのポリシーに従う予定です。すなわち、ftp.freebsd.org
から東風フォントのパッケージが削除されたらPOPSからも東風フォントを削除
します。場合によっては、一時的にPOPS自体の配布を停止する可能性もあります。
Changes for FreeBSD 4.7-RELEASE
FreeBSD 4.7-RELEASE対応版では以下を変更しました(又は変更しませんでした)。
- linux_baseが7に移行しました
- 標準ブラウザはNetscape 4.x(4.8)のままです。
- cdrdao, freeamp, freefonts, gated, linux-flashplugin, pgp-6,
xephem は配付条件の問題から削除しました
- ja-mnews-imはセキュリティ上の問題から削除しました
- PDF, gpc, pspellはコンパイル時にエラーが出たのと、重要度が低いという
理由から削除しました
- uninstallスクリプトを追加しました。このスクリプトはPOPSがインストールした
パッケージのみを強制的にpkg_deleteします。
Changes for FreeBSD 4.6.2-RELEASE
FreeBSD 4.6.2-RELEASE対応版では以下を変更しました(又は変更しませんでした)。
- linux_baseは6のままです。
- 標準ブラウザはNetscape 4.79のままです。
- mplayerを追加し、xineを削除しました。
- apacheはapache2のみにしました。mod_の類いは削除しました。
mod_perlとmod_rubyがなくなりました。
- 必要のなさそうなpackageを削除しました。
- ja-gnomeでインストールされるものはインストールしました。
- 4.6.2-RELEASE時のgnomelibにはバグがあったので、新しいもので強制
上書きするようにしています。
- 4.6.2-RELEASE時はapache2がコンパイルできなかったので、新しい版を
強制インストールするようにしています。
- /var/db/pkg/pops-*をちゃんとした内容にするようにしました。
パッケージ集の作り方
このPOPSは「私」的パッケージ集なので、当然「あなた」的パッケージ集が
あっても良い訳です。そうなると重要なのは「どうやって私はPOPSを作ったのか」
という情報だと思います。というわけで、ここではPOPSの作成手順についてまとめて
みたいと思います。
POPSの作成手順(FreeBSD 4.6.2-RELEASE対応版を作るにあたって)
セキュリティ情報
FreeBSDにおいてセキュリティが保たれた環境を維持するための手順。
ToDo
- 日本語入力関係を整理する。
- WindowManagerを整理する。
- gnome関係のアプリケーションを整理/整備する。とは言っても、機能的の
他のアプリケーションとだぶっているものもあるので、どうしたものか。
- send-prの機構を用意する。
- pluggerをインストールするようにする。
- Acroreadの日本語フォントは、フリーのCIDフォントから変換して
ライセンスフリーにできないものかねえ。
- 開発体制の問題を整理する。適切なパッケージの選択基準を設けると
ともに、最小公倍数を適切に判別する支援系を開発するなどの対策をとる。
- JDKは時間が解決するでしょう。
配付条件
基本的にftp.freebsd.orgで配布されているものを集めたものとほぼ同じ
ですので、CD-ROMイメージや焼いたCD-ROMを自由に配布して頂いて構いません。
ただし、POPSの中には商用目的での配布を禁止しているアプリケーションが
含まれているので、その点を注意してください。
私が作成したスクリプト類についてはBSDライセンスになっています。
あと、もしイベントなどで大々的に配布する時には、一報頂けると嬉しいです。
配布の範囲を把握したいとか管理したいという理由からではなく、宣伝させて
貰えないかなというのと、私が元気が出るので。
よろしくお願いします。
連絡先
コメント、質問、提案などは
私 <kimoto@ohnolab.org>
宛てにメールを下さい。send-prの機構は追って用意します。
お願い
POPSを利用して頂ける方も、そうでない方も、お願いがあります。現在の
パッケージ集がどの程度「世間の常識」に合っているのか、離れているのか、
その点を調査してみたいと考えています。そこで、pkg_infoの実行結果を
kimoto-pops_ @ _ohnolab.org まで
送って頂けないでしょうか。そのマシンの用途(サーバ、個人端末、
集中管理しているなどなど)も書き添えて頂けると助かります。
お礼は出来ませんが、結果は論文なり記事なりの
形でまとめさせて頂きます。もちろん個人情報は一切公表しません。
協力して頂ける方いらっしゃいましたら、よろしくお願いします。
謝辞
/var/db/pkgのリストを提供してくださった皆さん。
- 井澤さん @ NetStar
- 菊地先生 @ 高知工科大学
- 清水さん @ NTT
- 野田さん @ NEC-SIC
- 舟橋さん @ 高知工科大学
- 正岡さん @ 高知工科大学
- 丸山さん @ taromaru.org
Webページの英語を添削してくださった方。
発表文献
- 自立運用ネットワークの管理を支援する統一環境の構築
- 木本雅彦, 大野浩之
情報処理学会論文誌, 2004年1月号
Masahiko KIMOTO, Ph.D. <kimoto@ohnolab.org>
Last modified: Sat Sep 9 14:18:17 JST 2006