読んだ小説の感想など(2001年)

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2001年一年間で読んだ小説は、単行本だけで86冊でした。本棚は既に溢れて います(2002年1月2日)。


ソリトンの悪魔 [上・下] (梅原 克文)

買った日:2001年9月
読んだ日:2001年12月20日 - 2002年1月2日

SFには説明するSFと説明しないSFがある。後者を突き詰めると、いわゆる サイバーパンクという文体になる。前者は古くからあるSFだ。この作品は、 前者の「説明するSF」であると思う。
それを前堤として見てみるとしよう。
ソリトンとは孤立波のことだ。他の波の影響をうけず、減衰することもなく どこまでも進んで行く波である。海の中に存在するソリトンが生命体であるという 点を中心に、海洋開発にまつわる技術をガジェットとして話は進んでいく。
SF的ガジェットは申し分ない。ストーリーも充分ドラマティックである。
しかしここで「説明するSF」であることが問題になる。まず、コンピュータ 関係の描写で特に気になるのだが(これは自分がコンピュータ屋だからだろう けど)、説明がしつこい。しかも言葉の使い方や未来予測が、中途半端に間違って いる箇所がある。
また、 秋山瑞人などの若手の スピード感溢れる文章を読んでしまうと、文章としてのやぼったさが目について しまう。後書きの中で、あるSF関係の賞を逃した理由として、
「世代交替によって、やや先鋭化、繊細化しているSF界の傾向のためか」
と小松左京が発言したと書かれているが、ある意味納得できる。
しかし作者はこれに対して真っ向から反抗しているらしく、前衛的なもののみを 評価するSFが衰退したと主張しているらしい。
しかし、この作品中でも前衛SF的表現技法を微妙に使っている箇所がある。 そしてそこがまた浮いている。そこがどうもいまひとつなのだな。
言うなれば、脚本は良いのだが演出が古臭いという感じであろうか。

ところで、海の中に意識を持った生命体、というと「ソラリスの陽のもとに」を 思いだすのだが、そこは作者も心得ているらしく「ソラリス・キャッスル」という のが登場する。

あと、たしかCGアニメ化されていて見た記憶もあるのだが、サーペントが ぐおぉぉぉんと迫って来るCGしか記憶がない……。


サムライ・レンズマン (古橋秀之)

買った日:2001年12月14日
読んだ日:2001年12月14日 - 12月17日

古橋版レンズマン。レンズマンの世界の中で独自のレンズマン、「サムライ」こと シン・クザクが活躍する。いや活躍といっても、表で派手に暴れるという感じでは なく、いかにもサムライという感じで隠密にして迅速に動きまわる。
これは是非とも翻訳して海外に持って行ってもらいたい。古橋、良い仕事をした。


海に眠る 義高と大姫 (倉本由布)

空耳の恋唄 頼家私伝 (倉本由布)

十三夜心中 建暦初恋始末 (倉本由布)

買った日:むかーしむかし
読んだ日:2001年12月8日 - 12月12日

鎌倉盛衰記の(今のところ)三部作。
頼朝→頼家→千寿の時代の話。人物の名前がごちゃごちゃになってしまう。
この時代をネタにして恋愛物を女性の視点から書く面白さってのは、恋愛の 障害になる様々なしがらみ(身分の違いとか政略結婚とか)ってのが当然のもの として存在できるからだと思う。現在ものだったら「俺は好き勝手に生きたいん じゃあゴルァ」ってのができちゃうからドラマにならない。
でも逆に鎌倉時代に当たり前に存在していたようなしがらみや制約を現代に 無理矢理持って来てみたら、それはそれで面白いドラマになるのではないだろうか なんてことを思った。


東方ウィッチクラフト − 垣根の上の人 − (竹岡葉月)

東方ウィッチクラフト − 螺旋舞踊 − (竹岡葉月)

東方ウィッチクラフト − 願え箒の星に − (竹岡葉月)

買った日:2001年12月4日
読んだ日:2001年12月5日 - 12月7日

そこそこ評判が良いみたいだったので、買ってみました。軽く読めますな。
ただ萌えを期待すると、ちと外れる。あくまでコミカル路線で。
最近の花ゆめ路線に近いものがあるかもしれない。激しい恋愛ものや激しい魔女 ものは期待せずに、あくまで軽く軽く。個人的にはデビュー作の雰囲気の方が 好きかなあ。


蒲生邸事件 (宮部みゆき)

買った日:2001年11月24日
読んだ日:2001年11月29日 - 12月4日

日本SF大賞受賞作。
時間旅行者が出てきて、主人公の青年が2.26事件の日に飛ばされてしまうところ から話が始まる。しかも時間移動は一方向だけではない。○○という時代に ××の時代の人が飛ばされたらどうなるのかというSF的ガジェットが、精密な 時代考証とその描写によって繰り出されている。
しかし、時間移動をすることがネタのすべてではなく、違う歴史や 違う文化に飛びこんで、そこで起こる考え方の違いや行動の違いというのが 肝なのであると思う。 そういう意味では未知との遭遇的エッセンスもありと言える。
では、異文化に接した冒険物なのかというとそうでもなく、やはり歴史とくに 日本人なら誰もが知っていてそれでいて詳しくはしらない2.26事件をなぞり ながら、人びとがどう生きていくのかを語るという点で、歴史ドラマという 枠を越えた不変的なドラマが形成されている。
ところで、仮にも大学を受験しようという人間が、2.26事件を全然知らないって ことはないと思うのだけど…。


千の夢を見る (倉本由布)

華焔 (倉本由布)

楽園のイヴ (倉本由布)

買った日:むかーしむかし
読んだ日:2001年11月26日 - 11月28日

華焔と楽園のイヴは既読だった。読んでから気が付くとは。


イリヤの空、UFOの夏 その2 (秋山 瑞人)

買った日:2001年11月8日
読んだ日:2001年11月8日 - 11月9日

結構書き足されていたから、電撃hpを持っている人でも買って損はないかも。
というか信者なら買うべし!信者でなくても買うべし!
使われているネタは非常に陳腐で新しいものはない。でも面白い。結局それが 一番大事だと思う。
作者も表明しているように、エヴァンゲリオンが元ネタとしてあったわけだけど、 エヴァだって斬新だったわけではなく陳腐なネタをちゃんと作品として面白く 仕上げたからうけたわけで、イリヤについても陳腐なネタかもしれないけどそれを 面白い作品に仕上げている秋山氏の能力を素直に称讃するべきだろう。


イヴたちへの伝言, イヴたちへの伝言2 (倉本由布)

ポケットにハート時計 (倉本由布)

買った日:むかーしむかし
読んだ日:2001年11月1日 - 11月3日

十年くらいぶりに倉本由布の初期の作品を取りだしてみたり。
うわ。なんか女の子だわ。
倉本由布って、嫌な感じの女の子書かせたら上手いわ。

以下はオヤジの一人言。
コバルト文庫にしろ少女漫画にしろ、恋愛沙汰でごちゃごちゃとやっているわけ だけど、もしこれ全部に肉体関係とかそういう欲望とかが存在しているとしたら と想像しながら読むと、うわ人間って汚ねえとか思ってしまう。
本当は想像するオレが一番汚い。


魔術はささやく (宮部みゆき)

買った日:2001年?
読んだ日:2001年10月31日 - 11月2日

SFじゃないですが。まあ。
ひさしぶりにこの手のミステリっぽいのを読んだけど、うん、面白いじゃないか。 すこしこういう系統のを読んでみようかな。


逆まわりの世界 (P・K・ディック)

買った日:2001年8月
読んだ日:2001年10月26日 - 10月30日

意表をついたガジェットを持ち出しているけど、最後はディックなんだよな。 何もやっても何も変わらず、世の中は動き続けるという。でもそういう物の 見方は嫌いじゃない。


イリヤの空、UFOの夏 その1 (秋山 瑞人)

買った日:2001年10月7日
読んだ日:2001年10月7日

電撃hpの連載を読んでいるので、そっちとの違いなどを考察しつつ。
まず表紙だが、電撃にしてはシンプルな白を基調とした装幀で、なかなか清楚な 感じがして良い。イリヤの尻が、また良い。パンツの線がないということは、はいて いないということか。
連載と一番違うのは、途中のイラストが無いということだ。だからスクール水着も あおむけになっても形の崩れない胸も、なーんにもなし。文庫派の人は可哀相ね。
内容的には、あいかわらずくーとくやしい気分になる秋山節です。書き下ろしの 短篇も良い。


私は虚無に月を聴く (上遠野 浩平)

買った日:2001年9月25日
読んだ日:2001年10月5日 - 10月7日

多分この人は「世の中本当に実在するかどうか分かったもんじゃない」と本気で 考えているのだろうな、と思う。そういった不安定な思考ってのは、十代の頃は みんな持っていたものだけど、年齢を重ねるにつれて目の前のことを処理する だけで精いっぱいになってしまって忘れてしまうのだろう。
作者はそれを忘れないまま年齢を重ねてそして小説という形で世に出した。
共感する読者が多いのは、「若い頃は俺もこういう感性を持っていたよ」と思う 二十代と素直に受け止める十代がいるからなのだろう。
かどちんにはこのまま不安定な世界を持ち続けていってもらいたいものです。


E・G・コンバット 3rd (秋山 瑞人)

買った日:2001年9月25日
読んだ日:2001年9月27日

E.G.Finalは2001年6月に発売予定でしたが、延期になりました。2002年度だって さ。『度』ってのが泣かせるね。
でも、それまでイリヤがあるから、いいのさ。
と思ったけど、失敗。Final! はやくFinal!
秋山瑞人を読むと、ビリビリする。


ハイペリオンの没落 (上・下) (ダン・シモンズ)

買った日:2001年5月1日
読んだ日:2001年8月20日 - 9月27日

長かった。とにかくこれまでのSFてんこもりが前作で、それを補完しつつ 続編というかたちで完結に導いているのが本作。全部で4冊になるけど、これ だけでSFのたいていのジャンルをカバーできるので、まあお得と言えばお得。
ここまで長くたらしめているのが、詩的描写の多さである。といっても、随所に 挿入される詩そのものだけではなく、情景や心情の描写が詩的で緻密で、とても 勉強になる。こういう深い描写ができるようになりたいものだ。
ちょっとくどいけど。


ソフトウェア (ルーディ・デッカー)

買った日:2000年12月16日
読んだ日:2001年8月16日 - 8月19日

一応サイバーパンクにジャンル分けされる作品だけど、この手のは いつ頃の時期に書かれたのを意識しながら読まないと評価がしずらいと 思う。その点からするとディックほどの不変性がないような感じがする。
話としては、このくらいのあっさり度で良いと思う。あとは日本語訳が 読みやすいかどうかかなあ。


COOLDOWN (伊達 将範)

買った日:2001年8月12日
読んだ日:2001年8月13日

ま、かるくアクションものを。


エンダーのゲーム (オーソン・スコット・カード)

買った日:2001年7月1日
読んだ日:2001年8月5日 - 8月13日

おもしろかった。とてもテンポ良くよめた。エピローグをどうとらえるかは 微妙だが、難しいこと考えたくない人には蛇足で難しいこと考えたい人には 必要という感じかな。
どうしてハリウッドはこういうのも映画化しないのかね。


百億の昼と千億の夜 (光瀬 龍)

買った日:2001年7月1日
読んだ日:2001年7月15日 - 8月4日

萩尾望都がまんが化しています。
小説を読んだイメージからすると、横山光輝を思い浮かべた。


ダブルブリッド VI (中村 恵里加)

買った日:2001年7月9日
読んだ日:2001年7月10日 - 7月11日

今のところ、読む価値があるのはI, IV, VIです。でも途中の話しも読んでお かないと分からなくなったりするので、いやらしい。Vを読まないとVIが分から なくて、IIを読まないとVの登場人物が分からなかったり。
さて、太一郎があんなことになってしまったので、そろそろ締めにかかるの でしょうか、あと2巻か3巻くらいで終ると丁度良い分量では。引っ張っても 10巻目までだろうな。


ハイペリオン (上・下) (ダン・シモンズ)

買った日:2001年5月1日
読んだ日:2001年6月24日 - 7月14日

長かった。二冊読むのに三週間かかってますな。途中で別の読んでたりは してたけど。
で、噂のハイペリオンなのですが、一言でいうと「てんこもり」です。 あまりにてんこもりすぎて、後半になると最初のほうの話しを忘れます。 しかもまだ次に続くっていうんだから困ったものだ。
次も買ってあるけど、疲れたのでちょっと休憩。


ルームメイト 1, 2, 3 (紺野たくみ[1], 伊達 将範[2,3])

買った日:2001年6月22日
読んだ日:2001年6月22日 - 23日

三冊まとめて。一冊100円で古本屋で売っていて、2巻を(ダディフェイスの 作者やな〜と思いつつ)めくっていたら、最初の数ページで 「そこだ!押し倒せっ!」という感じだったので。

セガサターンのゲームのノベライズという奴ですが、サターンって名前 聞いただけで遠い目で涙が流れてくるね。SH2を二つ塔載という面白いと いえば面白い作りなんだけど、やはりマルチプロセッサを活用できる ソフトを作るのは難しかったようです。あとPSに比べてムービーの再生能力が 劣っていた点も問題だったのでしょうか。ああ。
1は普通のラブストーリー。2はエロ小説。3は受験恋愛物で頭イタ。


ダブルブリッド V (中村 恵里加)

買った日:2001年6月15日
読んだ日:2001年6月22日

太一郎、お前、頭おかしいよ。


きみにしか聞こえない CALLING YOU (乙一)

買った日:2001年6月15日
読んだ日:2001年6月17日 - 18日

こういうのは、高校生のうちに読んでおきたかったね。というわけで、 高校生のみなさんは読んでみよう。
3つの短篇が入っているけど、最後の「華歌」にはやられた。最後まで 全然気がつかなかった。でも言われてみるとそれでまとまりがつくという、 くやしい話しだった。


失踪 HOLIDAY (乙一)

買った日:2001年6月15日
読んだ日:2001年6月16日

仕事帰りに秋葉原によって電撃hpの早売りと乙一作品をゲット。 なぜなら今週のキーワードは「切なさ」だから。切なさへの旅にゴー。
失踪HOLIDAYには二話収録されている。猫の話しと狂言誘拐の話し。 ありがちといえばありがちな捻りかたなんだけど、ちょうど良い塩梅で 心を突き刺して来るという、ニクい作者です。
猫の話しは、引きこもりさんと幽霊が出逢って殺人事件を解決しつつ、引きこもり さんは希望を手に入れるという、簡単に言うとそういう感じなんだけど。俺だった ら、ひっきーは幽霊と出逢おうが何しようがひっきーのままで、まあそれで いいや、っていう話しに絶対すると思うので、自分には書けないジャンルである ように思う。


ソラリスの陽の下で (スタニスワフ・レム)

買った日:2001年1月5日
読んだ日:2001年6月13日 - 21日

思ったことというかネタ。


火星のタイムスリップ (P・K・ディック)

買った日:2001年3月18日
読んだ日:2001年6月8日 - 6月12日

思ったことというかネタ。


コールドゲヘナ 4 (三雲 岳斗)

買った日:2001年6月7日
読んだ日:2000年6月7日 - 6月8日

今回の最大の目玉は、フロスティの下着イラストです。本当です。
色気はありませんが、そこがまた何ともフロスティらしくて良い感じです。 以外と胸は小さめです。このイラストレータさん、人物はなかなか良いイラストを 書いてくれます。 ああ、これでまともなメカデザインさえ出来れば…惜しいことをしました。

イラストの話しは置いておいて、本篇ですが。改めて読むと、台詞から ストーリーから何から何まで、臭いですね。芝居がかっている。でもまあ それが特徴と言えば特徴なので。ケレン味と考えれば別に嫌いじゃないです。

えっと関係ないけど、今頭の中がアニメ版の鉄コミュニケーションの主題歌で 埋まっています。アニメも漫画も見ていないのですが、なぜかMP3のファイルだけ 持っていて、この歌と小説とのマッチングが出来てしまい、歌→せつなさ爆発 という回路が出来てしまったんですね。
だから頭の中はせつなさ爆発です。
歌詞は全然小説の内容と関係ないのですが。ま、これはこれでせつない歌詞なの ですが。
ああ、早くE・G・Final出ないかな。

とりあえず、もっとせつなさ爆発するために、今読んでいるディックのが (せつなくないやん)終ったら乙一作品をまとめ買いしてみようかと。


E・G・コンバット 2nd (秋山 瑞人)

買った日:2001年5月20日
読んだ日:2001年5月23日 - 5月24日

秋山瑞人を読んでいると、心が動く。
ビリビリする。
ゾクゾクする。
こんな機械的な心の俺でも、まだ振動する何かを持っていたのかという気持ちになる。
最近の作品の中で、ここまで心が動く文章を書く人はあまりいないのでは なかろうか。あ、「萌え」ってのは別ね。あれはちょっとまた違う感情だから。

ちょっと作品自体に触れよう。第一作はルノアの不安の話しだった。新米 教官として自分自身にも他人に対してもすべてが不安な主人公、ルノアの 物語だった。第二作は教官として動きだし、それが故に生じる亀裂、疑問、 葛藤の物語だ。2ndではルノアは確実に教官として立ち上がっていて、 それでいてやはり戦いつづける。
三作目はどうだろう。Finalが多分7月には発売されるだろうから、3rdは 6月中には読んでおこうかな、と思っている。


ダブルブリッド IV (中村 恵里加)

買った日:2001年5月20日
読んだ日:2001年5月22日 - 5月23日

つまり、IIとIIIは外伝的なもので、本筋にはあまり関係ないと思えという ことらしい。IとIVだけで十分な気がする。本筋としてはね。
IVはテイスト的にもIに近いものがあり、かつ登場人物のねじ曲る心の葛藤が 書かれていて、とても良い。くり返しになるけど、Iを買った人はIVも 買いましょう。IIとIIIは買わなくて良い、と思う。
さてVはどうだろう。


Hyper Hibrid Organization 01-01 (高畑 京一郎)

買った日:2001年5月20日
読んだ日:2001年5月20日 - 5月21日

そろそろ買っておこうかと思ったら、なかなか売っていなくて探して 歩き回ってしまいました。結構売れているのね。まああたりまえか。 みんな、待っていたもんね。
で、内容ですが、相変わらずの高畑作品で、一部バタ臭いながらも 計算された内容になっている…ように思える。今のところ。
バタ臭さについては、俺嫌いじゃないから全然気にならないし、むしろ 電撃系の著者の中では一番頭使って書いていると思うので(失礼だが)、 良いのではなかろうか。ただ、ストーリーをなぞるだけじゃなくて、 もっと書き込んでも良かったんじゃないかなと思う。倍の厚さで同じ内容を 書くか、倍の厚さで続きも一気に書き上げるか。


ダブルブリッド III (中村 恵里加)

買った日:2001年5月18日
読んだ日:2001年5月19日

世の中には、優樹たんの手首が取れたり片眼がえぐられたりするのが萌え萌え とかいう人がいるようだけど、俺はそんなことはない。 だから単に脱いで、って感じ。
この人に関しては、そこそこ読める話しを量産できる(結局一年で4作だもんな) ということで、電撃授賞者の中ではかなりの「当たり」と言えるでしょう。


E・G・コンバット (秋山 瑞人)

買った日:2001年5月15日
読んだ日:2001年5月17日 - 5月18日

いいだろう。ライトノベル界の永野護と呼んであげよう。


MAZE (恩田 陸)

借りた日:2001年4月30日
読んだ日:2001年5月4日 - 5月7日

社会の中にある何か穴のようなぽっかりしたもの。例えば迷い込んだら 出られない迷路みたいな。
人はそういうところに迷い込んで、やがて違う何か、進化した何かに 変わってしまうのかもしれない。
白い迷路は多分そういうものなのでは。
その点では、恩田陸の作品の一群を占めるブラッドミュージック的、幼年期の 終り的アレな作品なのかも。


光の帝国 − 常野物語 − (恩田 陸)

借りた日:2001年4月30日
読んだ日:2001年5月1日 - 5月3日

こういう話しを書きたかった、ような気がする。
そういえば、光の帝国、ドラマ化だそうで。
ついでにネバーランドもジャニーズでドラマ化だそうで。えー、って感じだけど、 でも恩田陸が書く少年像の少し誤った美化と、ジャニーズ好きの人達が少年たちに 求めているものって、重なる部分がないこともないように思える。とはいえ、 設計は同じでも実装は異なるというか、きっとジャニーズのネバーランドは 恩田陸的なものとは似ても似つかないものになるに違いない。


バースデイ (鈴木 光司)

買った日:2001年4月15日
読んだ日:2001年4月19日 - 4月21日

リングでちょっと思いだした。
コンピュータのストレージのバックアップについて。
本当の意味でのデータの長期保存を考えた場合に、どういう方法がありうるか というのを考えてみると、これがなかなか難しい。
なぜかというと、ほとんどの記録メディアが高々30年程度の寿命しかないから だ。CD-R,DVD-R,各種テープ。テープのほうが光ディスクよりも寿命は長いが、 それでも100年もつわけではない。
じゃあどうすれば良いかというと、結局のところ「その時その時で生きている メディア(ハードディスク)に頻繁にコピーする」と言う方法しかないと僕は 思う。つまり情報を常に生かしておくわけである。常に増植して活動していない と消えてしまうというのは、情報という形のない無生物のくせに、なんとも 生き物くさいではないか。まさにリングウイルス。

ところで、一通り読み終わったので、「リング」と「らせん」のビデオを 借りてきた。そしたら浅川が松島菜々子だったので、五分で見るのをやめた。
でもとりあえず「リング」の問題のビデオだけはどういう表現になっているのか 見ておこうと思って、そこまで見た。そんでもって、返した。えらい無駄した。 「リング」と名のつくビデオが沢山あって、どれがどれだか訳分からん。


ループ (鈴木 光司)

買った日:2001年4月3日
読んだ日:2001年4月18日 - 4月20日

意外な方法で前作、前々作の世界を内包するメタ世界を持ち出した。
無論、SFの世界ではこのようなメタ世界のガジェットは目新しいものでは ないが、前二作で完全にホラーテイストの世界を築きあげた上での、こういう ひっくり返し方はそれなりに受け入れられてしまう。なぜかと考えてみると、 前作までの世界が既に確固としたものとして読者の頭の中に確立されているの で、まさか本当に仮想世界ということはなかろうという先入観があるという ことと、メタ世界は手法であって本題でないということではないか。本質は メタというよりも「ループ」であることなような。
メタ階層が無限に続く問題は例えばオブジェクト指向の世界でも存在して いるのだけど、それをループに転嫁するという発想はなかなか良いのではないかと。 日本人の輪廻転生思想ともマッチしているし。


ダディ・フェイス 冬海の人魚 (伊達 将範)

買った日:2001年4月17日
読んだ日:2001年4月17日

病院に行ったついでに秋葉原に行って、電撃hpとダディフェイスを買う。
# 電撃hpにはイリヤが載っていなかったので、しくしく。
今回はちょっとブルーな気分になるおはなし。
美沙ちゃんのサービスは少なめ。 代わりに母親が脱ぐかと思いきや脱がず。 脱げや。
つまるところ、一番ヘドが出るタイプの悪役は、人外ではなく人間自身であり、 そういう連中をかる〜く一掃してしまうフォーチュンテラーという存在がある からこそ、気持ち良く読めるのではないかと思われる。


夜明けのブギーポップ (上遠野 浩平)

買った日:2001年4月15日
読んだ日:2001年1月15日

この人もまた、「こいつにしか書けない世界」という奴だよな。


ダディ・フェイス 世界樹の舟 (伊達 将範)

買った日:2001年4月13日
読んだ日:2000年4月13日

「ループ」を開きかけて、「いかんいかん、勉強せねば」と思い直して、 でも気がつくとこんな本を開いている。表紙見ながら「美沙ちゃんの胸が でかい」とか訳分からんこと呟いているし…。
お約束のポロリもあります。…。ロリもあります。
というか、そういう視点で楽しまないと損な話しやね。
ところで、何か前作と雰囲気が違う。どうも作者の筆がすべっている部分が 多いような気がする。主人公は前作よりもふにゃふにゃになっているし、 美貴もふにゃふにゃになっているし、美沙は爆弾娘になっているし。連続 して読むとちとつらいかも。


鉄コミュニケーション2 〜チェスゲーム〜 (秋山 瑞人)

買った日:2001年4月3日
読んだ日:2001年4月6日 - 4月8日

秋山瑞人には「この人にしか書けない文章」という強烈な武器がある。 でもってそれは、「人間離れしたものを当たり前のように表現する」時に 発揮される、ように思える。
擬人化ではなく、人間でないことを意識しながらもそれを忘れさせるようでいて やっぱり異質さを思い知らされるような、そんな感じ。


鉄コミュニケーション 〜ハルカとイーヴァ〜 (秋山 瑞人)

買った日:2001年4月3日
読んだ日:2001年4月5日 - 4月6日

ほったーん。
ちゃう。


ダブルブリッド II (中村 恵里加)

買った日:2001年4月3日
読んだ日:2001年4月4日

前作の方が密度が高かった。
優樹たん萌え。


コールドゲヘナ あんぷらぐど (三雲 岳斗)

買った日:2001年4月3日
読んだ日:2000年4月3日

コールドゲヘナの短編集。話しはお約束のものばかり。 でも世界観を確立してしまうと、お約束でも許されてしまう。 例えば、新しいOSを作ってしまえば「〜上における〜の実装」という タイトルで論文がかける。つまりそういうこと。


ライオンハート (恩田 陸)

借りた日:2001年3月30日
読んだ日:2001年4月1日 - 4月3日

どうしてもBGMが「らいおんハート」になってしまう…。


ブライトライツ・ホーリーランド (古橋 秀之)

買った日:2001年3月28日
読んだ日:2001年3月29日 - 3月31日

「ブラなんとか」のその3。
構成とかも似ているので、相変わらず独特のビートは健在なのだけど、全体の ストーリーってどんなんだっけと言われると流れは頭に残っていない。数度は 読み返さないといけないタイプの作品なんだな。

前作、前々作より毒気が強い。いいぞ、古橋、毒吐きまくれ。


ブラッドジャケット (古橋 秀之)

買った日:2001年3月27日
読んだ日:2001年3月28日

「ブラなんとか」のその2。複数の話しの流れを断片的に並行して語って おいて、最後に超特急で収束させるという構成は前作(ブラックロッド)を踏襲 しています。訳わからなくなりがちなんだけど、勢い自体が訳わからないので 勢いにまかせて煙に巻かれているような気がしないでもないけど、この独特の リズムと世界表現の技法はやはり面白い。
ただし、全体としての話しの流れを把握しずらいので、記憶しずらく、後から どういう話しだったのかを思いだしにくい。だから、前作のストーリーを思い 出せない…。


未来視たち (大原 まり子)

買った日:2001年3月18日
読んだ日:2001年3月26日 - 3月28日

大原まり子の書く少年は、海外のホームドラマに出て来るような半ズボンの 少年たちで、無邪気でいて残酷だ。


らせん (鈴木 光司)

買った日:2001年3月14日
読んだ日:2001年3月23日 - 3月25日


リング (鈴木 光司)

買った日:2001年3月14日
読んだ日:2001年3月21日 - 3月22日


コールドゲヘナ 3 (三雲 岳斗)

買った日:2001年3月18日
読んだ日:2001年3月19日 - 3月20日

偉そうなことを書くけど、文章表現の技術がどんどん向上しているように 思います。
ところで、作者近影なのですが、背表紙の写真と最近雑誌で見る 三雲氏の写真とのギャップが大きい気がするのは、気のせいでしょうか…。 いや余計なことだった。すまん。
うーん。やっぱりメカデザインが必要なんだよ。ぐっとくるメカが。 シェルブリッドみたいに、メカデザインだけで一人立ちできるような奴が。
# 結局永野かい

ところで、パラサイト・イヴの瀬名 秀明氏が、高校の先輩であるということを 先日知ってしまった。いや、だから何だというわけではないのだが。


コールドゲヘナ 2 (三雲 岳斗)

買った日:2001年3月18日
読んだ日:2001年3月19日

忘れないうちに、次を読んでみようかと思って。
やっぱりFSSだった。すまん。ただ、FSSは主人公が周囲を振り回しているけど、 これは主人公が振り回されている。
あとねぇ、足りないのはぐっとくるメカデザインっすよ。メカ。こういう ところは、永野護おそるべしだよな。
アニメ化という噂もあったけど(立ち消えになったけど)、メカは きちんとデザインして欲しいな。


銀河ネットワークで歌を歌ったくじら (大原 まり子)

買った日:2001年3月2日
読んだ日:2001年3月15日 - 3月18日


ブラッド・ミュージック (グレッグ・ベア)

買った日:2000年12月16日
読んだ日:2001年3月5日 - 3月15日

最初は「アウトブレイク」「パラサイト・イヴ」「アンドロメダ病原体」 のように進むけど、途中から「幼年期の終り」に変わっていく。
この手の、人間の進化の形態としての統合意志体みたいな発想というのは、 日本みたいに輪廻転生が根底にある文化からは生まれてこない。日本でそういう 発想の話しを作るとどうなるかというと、エヴァンゲリオンになるわけです。
で、それはそれで受け入れられた。ただし、その結末は総合意志に統合されて おしまい、ではなくて、主人公が統合されることを拒んでおしまい、なわけです。
あれれ。西洋文化ってのは「個」が確立していて、日本は「個」が確立してい ないといった言われ方をよくするけど、西洋の話で出て来る人類の進化が統合 意志で、日本ではそれを進化とみなさずに否定する結末が受け入れられる。こ れ、何でしょうね。
その前に、日本は個が確立していない、というのは本当なんでしょうか。
というあたりから、日本人のパーソナルスペースと共同体意識に関する 議論を展開しようかと思ったけど、面倒になったのでやめた。


コールドゲヘナ (三雲 岳斗)

買った日:2001年3月2日
読んだ日:2001年3月4日 - 3月5日

F.S.S.と思った。すまん。だってそう思ったんだからしょうがないじゃない。
あ、ザブングル。すまん。だってそう思ったんだからしょうがない。


ダディ・フェイス (伊達 将範)

買った日:2001年2月23日
読んだ日:2001年3月3日 - 3月4日

大学生の主人公のところに、ある日突然12歳の少女が現れて「パパっ!」って言う。
萌え萌えのお約束パターンですな。どれどれ…
って、おい八歳は無理だろういくらなんでも。だいたい種が皮が穴が以下略
まだ加護が中澤の隠し子だって言われたほうが、納得できるってもんだ。
でも、まあ実の子供ということにするには、こうするしかなかろうか。
(読中)……黒〜! 風呂〜! 美沙ちゃん〜! 萌え〜!
(読後)…という話しでした。撃沈。俺も若いうちに子供作っときゃ良かったな。


陰陽ノ京 (渡瀬 草一郎)

買った日:2001年2月23日
読んだ日:2001年3月1日 - 3月3日

第7回電撃ゲーム小説大賞 金賞受賞作。
結局今期の入賞作全部買ってしまった。 こうしてお兄さんのとぼしい生活費は以下略
陰陽師系は趣味と外れるかなぁと思って最初買わなかったんだけど、結構 評判が良いみたいなので買ってみた。
これが金賞なのは、まあ良いでしょう。多少散慢な気もするけど、独特のペース で話が進み、雰囲気で読ませる感じ。伏線とか構成も良いと思う。 電撃にはあまりないノリだけに、貴重だと思う。
萌えはどうよ萌えは、というと、時継ちゃん萌えなのかしら、という感じ。
登場人物の描写が淡々としているけど、僕はこういうの嫌いじゃない。けど 人によるだろうな。昨年の受賞者を見るとリングテイルにしてもダブルブリッド にしても、女性作家で感情の描写が結構豊かだったように思えるけど、今回 の受賞者は全員男性という違いが、どの作品にも現れているかも。

さて、今回の電撃ゲーム小説大賞を概観するに。
まず「陰陽ノ京」が金賞なのは納得。 「ウィザーズブレイン」が銀賞なのは、「陰陽ノ京」と比較すると確かに妥当か もしれない。個人的にはこのベクトルは好きだが一般受けはしないかも。 「天国に〜」が金賞なのはあまり納得いかないけど、他の二人の作風がある程度 固まっているのに対して、この作者は育てがいがありそうだと編集がふんだのかも 知れない。次回作、次々回作も予定組まれてしまっているという噂だし。
あと、特別賞の人達はどうなっちゃうのかしら。電撃hpとかで何か書かせてもらえる のかな。それともノベライズ的な仕事をしながら修業なのかしらん。


住めば都のコスモス荘 (阿智 太郎)

買った日:2001年2月23日
読んだ日:2001年2月23日

他の本読んでいる途中だけど、ちょっと息抜き。古本屋で買ったのでした。

あちたろう これっておもしろ いのかしら (五・七・五)

まあ、だらだらと続けるには適当なネタかもしれない。アニメ化というのも ありだろう。ただしワンダフル枠なら、だが。

む、なんか今日はやる気がでないなと思ったら、もしかしたらこれを読んだせいか。 恐るべし、あちたろう。


宇宙のランデブー (アーサー・C・クラーク)

買った日:2000年1月5日
読んだ日:2001年2月16日 - 3月1日

ストーリーがどうのというのじゃなくて、フィクションなんだけどサイエンス であるところに意味があるわけで、こういうセンスって受け入れる人とと 受け入れない人とではっきりと別れるものと思われる。
俗な言い方をすれば、理系と文系。
オレ理系。だから好き。サイエンス・フィクションが好きというより、サイエンスが 好き。


パラサイト・イヴ (瀬名 秀明)

借りた日:2001年2月13日
読んだ日:2001年2月14日 - 2月15日


六番目の小夜子 (恩田 陸)

買った日:2001年2月6日
読んだ日:2001年2月13日

恩田 陸のデビュー作が文庫にて再登場、ということで早速ゲット。


三月は深き紅の淵を (恩田 陸)

借りた日:2001年2月9日
読んだ日:2001年2月13日

前から読みたかった一冊。「麦の海に沈む果実」と同じ流れ(前身)の作品です。 こういうタイトルって、なかなかつけれないよな。

木曜組曲でもそうだったけど、恩田陸は時々文学論を展開する。主にミステリを 対象としているが、それ以外にも言及する。そういえば、作者は元編集の仕事を していたんだっけ。そういう視点から書いているのだろうか。


ウィザーズ・ブレイン (三枝 零一)

買った日:2001年2月9日
読んだ日:2001年2月10日 - 2月12日

第7回電撃ゲーム小説大賞 銀賞受賞作。
作者は下↓の作者とおなじく大学院生。理系では院生は珍しくないし、 個人的に研究者や技術者の作家は歓迎なので、みんながんばれ、目指せ瀬名秀明。
さて本作なんだけど、なんでこっちが銀賞で「天国に〜」が金賞なんだろう。 こっちのほうが面白いと僕は思うんだけどな。力も入っているし。確かに、 「天国に〜」の作風のほうが量産はしやすいだろうから、商業的価値は高い かもしれない。そういう基準で選んでいるのだろうか。単にSFに冷たい風潮なの だろうか。 話の作りとか伏線の張り方とか、かなり良い線を行っていると思うんだけどな。
で、作者の専門は物理だそうで。おしい、情報通信系の用語とか、もうちょっと 厳密さを極めて欲しかった。「情報理論」という言葉は既に特定の分野を指す言葉 として定着しているし、「ハッキング」という言葉を使った時点で素人丸出し だし、1.3テラHzのサブミリ波は赤外線との境界付近の電磁波で、 通信に使われるのだろうか? 天体観測の世界とかは良く知らないが。
あと細かいところで気になる部分はあったけど許容範囲だし、心理描写が弱いと いう意見はあるようだけど、こういう話の作りの場合、僕は心理描写よりは 情景描写だけでつっぱしってもらって良いと思う。あ、でも人物描写は確かに 少なかったね。多分作者が服飾系のことあんまり詳しくないんだと思う。 こういう自分の弱いところは意識して書かないといけませんな。でも電撃なら イラストでカバーできるから、いいじゃんという気もする。


天国に涙はいらない (佐藤 ケイ)

買った日:2001年2月9日
読んだ日:2001年2月9日

第7回電撃ゲーム小説大賞 金賞受賞作。
作者は大学院(修士)生。若いですな。こうしてお兄さんのとぼしいお小遣いは 若者の印税になっていくのね。
電撃の入賞作というと、キャラを引き立てて軽く読ませるものと、度肝を 抜く(SF的)設定と描写をするタイプとありますが、これは前者。
しかも萌え系じゃないか。
いかん。
ロリ禁止。萌えるから。
終り方の盛り上がりがいまいちかなぁと思いつつ軽い話なのでこういう感じで さらりと流すのもありかなと思いつつ。ただアブデルのキャラはもう少し女性受け するように描いた方が、この先発展しやすいのではないかと思ったりしました。 作者は続きを考えているらしいです。
ところで失礼なことを書くけど、この作者は男性なのか女性なのか。
電撃hpの写真は どうみても男性だけど、本の作者近影はどちらかわからない。あとがきの一人称は 「私」と「俺」と両方がある。女性が「俺」を使う場合は普通「オレ」って書くだろう から、やっぱり男性かなぁ。妄想の方向性が男性の趣味っぽいし。

あ、4月には第二巻が出るらしい。えらい早いペース。


ブラックロッド (古橋 秀之)

買った日:2001年1月28日
読んだ日:2001年2月6日 - 2月8日

最近だと「タツモリ家の食卓」を書いている人、のデビュー作。 電撃ゲーム小説大賞受賞作。
この作品は、いろいろな意味ですごい。世界が完成されている。 「仏締めろ」に「ぶっちめろ」とルビを振る才能には感服したね。
某書評で「見て来たかのように架空の世界を書く天才」というのがあったが、 その通りだと思う。


月の裏側 (恩田 陸)

借りた日:2001年1月30日
読んだ日:2001年1月31日 - 2月6日


バトルシップ・ガール (橋本 紡)

買った日:2001年1月28日
読んだ日:2001年1月28日 - 1月29日


神の鉄槌 (アーサー・C・クラーク)

買った日:2000年12月16日
読んだ日:2001年1月25日 - 1月27日


ダブル・キャスト (高畑 京一郎)

買った日:2001年1月5日
読んだ日:2001年1月23日 - 1月24日

なんで僕は女性作家の作品が好きなのかな、と思っていたのですが、この 作品を読んでいて考えたこと。
女性作家の作品の感性は自分とはやはり違うものがあるので、素直に「すごいな」 と受け入れられるのだけど、男性作家のそれは自分と通じるものがあるので、 「すごいな」と思いつつも「なんかくやしい。俺も書きたい」と闘志を燃やして しまうんですな。
凄いと思うよりも悔しいという気持ちが先にたってしまう。

あーーーー。
この「俺でもできるかも」って気持ちは、十代の若者が言うと 希望と未来に満ち溢れている感じだけど、三十近いオヤジが言うとエゴイスティック かも。
あんまりよくない傾向かも。

さて、作品自体ですが、良く考えられています。この作者は仕掛けとか 筋とかをきっちり組み立てるタイプですな。
話のポイントは


火星年代記 (レイ・ブラッドベリ)

買った日:2000年12月16日
読んだ日:2001年1月4日 - 1月22日

この作品が書かれたのは1950年。丁度半世紀前である。それほど昔のこと ではない。少なくとも私の父親は生まれている。
この半世紀の間に人類は色々なことを知ってしまった。火星は赤いけど 溶岩の星ではないし、空気もないし、火星人もいない。
半世紀前にはあった夢が、いまはない。
もちろん文学作品として、そのエッセンスを読みとれば、現在でも通じる 面白さを持っている。それは確かだ。
だけど、作品の基幹の一つである「火星」というあこがれの未知の世界は、 今はもうない。
1970年代以降、SFがどんどん下火になっていった原因は、はやりこういうところ にあるのだろうな、と思う。

それでも私は科学に夢を見たい。


ダブルブリッド (中村 恵里加)

買った日:2001年1月15日
読んだ日:2001年1月15日 - 1月16日

これも電撃です。第六回の電撃ゲーム大賞金賞受賞作。
う〜ん、うまいよな。話しの構成とか、細部の設定とか、完全にプロ じゃん。どんどん電撃ゲーム大賞のレベルが上がって行きますな。


フォーチュン・クエスト (深沢美潮)

買った日:2001年1月5日
読んだ日:2001年1月7日

続でもLでもありません。最初の最初です。古本屋で購入金額の都合上 買いました(もう100円分買う必要があったので)。
ある意味、深沢美潮の原点なのかな。


タイム・リープ (上・下)(高畑 京一郎)

買った日:2000年12月16日
読んだ日:2001年1月5日

うん、クリス・クロスよりこっちの方が面白い。 こちらが本来の高畑 京一郎なんじゃないかと思う。
ところで作者は静岡県出身なんですな。舞台となっている「東高」だけど、 サッカーが全国レベルの進学校と言っているから、多分清水東高校では なかろうか。

さて、この作品のミソだけど、作中にもちゃんと説明されているように、 時間移動をしているの意識だけで物理的には何も移動していない。意識も ダブることはないから、親殺しのパラドックスのようなことも発生しない。 タイムトラベルものの一つでありながらも実は移動していないあたりが、 何ともうまいですな。


クリス・クロス (高畑 京一郎)

買った日:2000年12月30日
読んだ日:2001年1月2日

これだけだと何とも言えないな。
とりあえず思ったのが、電撃ゲーム大賞って、どんどんレベル上がっている のね、ということだった。この作品が第一回の大賞受賞作だけど、今 読むと最近の受賞作からはやっぱり劣るように思える。


僕らは虚空に夜を視る (上遠野 浩平)

買った日:2000年12月30日
読んだ日:2001年1月1日 - 2001年1月2日

あ〜。
メガゾーン23だとかMATRIXだとかいう意見はあるかもしれないが、 これはこれでセンスが現代若者社会的というか、なんというか。
ブギーポップにしろ本作にしろ、「いま」を生きている僕等が感じる 「空虚」感なんだな、根底にあるのは。


Masahiko KIMOTO, Ph. D. <kimoto@ohnolab.org>
Last modified: Wed Mar 22 16:54:57 JST 2006