読むのがSF小説に限らなくなってきているので、SF小説に限らず読んだ小説の 感想を書くという方針に変更しました。
2002年に読んだ小説は約50冊。去年より少ないのは、スキズマトリックスに やたらと時間がかかっていたのと、小説以外の読んだ本の数が増えているのと、 主な読書時間である通勤時間に他のことを色々やっていたからでしょうね。
前半を読んだのがはるか昔なので、 あらためて「楽園のイヴ」を読み直してから読んだ。 やっぱり、こういうふわふわ女の子物が好きなんだな。30のおっさんが言う科白 ではないが。
確か某所でLAST KISSの話の流れで話題にあがった本だと思うのだが、なんとなく
気になったので買ってみた。
青臭い。非常に青臭い。でもその青臭さが良い。
お前ら萌えとか言ってないで、こういう青臭さを思いだせや、という気分。
自分も若いころはこんな感じで青臭いのに共感できたよな、と思ったのだが、
最近の高校生とかもこの手の青臭い話に共感できるのだろうか。
それとも、もっとすさんでしまっているのだろうか。
雰囲気買い。
MF文庫Jって新進なレーベルなわけだけど、実はそこそこ外していないのでは
ないかという気がする。
これは昔のコバルトっぽいのが好きな人ならおすすめかも。
1巻を読んだのがはるか昔だったので、改めて最初から読み直した。
改めて読むと、この人文章巧いなと思う。無駄がなくそれでいて軽くもなく、
無意味な装飾もなく読みやすい。
萌えはないけどね。
つか、2巻って女性が一人も出てこないし。すげーな。
これで半年に一冊くらい出してくれれば文句ないんだけどな。
まあ何だ。
アクションあり、ロリあり、生きる意味を探る少年あり、学園ドラマあり。
最近の電撃の路線的には、直球という感じかな。
この作者は前回の電撃で、審査員特別賞か何かをとった人で、
「A/Bエクスストリーム」という真っ当なSFを書いている人らしい。で、今回は
ちょっと萌え多めに路線変更してみました、ということらしい。ロリっぽいから
お買い得という話を聞いて買ってみたのだが、そういう人間がいるということは
路線変更成功なのだろう。実際売れているらしいし。確かに、キャッチーな
タイトルと、萌えイラストだけでも手に取る人は多そうだ。
文章としては、気になったのは、最初の数ページが文体が弱干揺れているような
気がしたのと、読点で文を切ったり妙な改段落を多用するという書き方は、
電撃(というか秋山以降)に良く見るような気がするのだが、あまり使いすぎる
のもどうかと思う。個人的には。
第一回スーパーダッシュ新人賞の大賞受賞作、ということで買ってみた。
どうせ検索されればバレるので白状してしまうと、この新人賞、実は私も応募して
いて、一次審査を通過してそこで落ちました。まあ始めて書いた長編なので、
約500本中一次通過だけで自分的には満足なのだが。
さて。
そういう立場で読むと、「こーゆーのを期待されてたのか。それはちょっと
つらいなあ」と思う。審査員である新井素子の趣味が非常に出ていると思う。
密度は薄いのだけれど、なにせ長いので、全体としては設定とかそれなりに
書けていると思う。ただ、新井素子がSFとかファンタジーの子供を独得の調子で
書いたとすると、これはSFとかファンタジーの二次創作(ゲームとかライトノベル
とかそんなの)の子供を新井素子調で書いたという感じがする。
これで次作をどういう駒で出してくるのか、興味はある。
MF文庫Jの中ではそれなりに良いという某所での評判を聞いて、レーベルの傾向を 調べるためにもと思って買ってみた。まあ確かに話としては綺麗にまとまっている が、個人的には濃い内容になっても良いかなと思った。濃いSF系を読み慣れて しまうと、物足りない。でももしMF文庫Jの対象年齢が低めを設定しているので あれば、こんなものなのかもしれないとも思う。思いつつも、俺が高校の時に 読んでいた例えばガルフォースとかってもっと濃かったよなぁ。
スペオペ的良さにはまってしまうと抜け出せない。そんな感じ。
ただやっぱりアメリカ的ヒーロー観は、ちょっとでも疑問を感じだすとひっかかる
部分もある。例えば最近「リーダーとして部下に順位を付けて、必要なら下の奴を
切り捨てる」時の葛藤というのを何らかの形で表現できないかと思っているのだが、
レンズマンにはこの点をもう少し悩んで欲しかった。
一人称のくせに三人称視点。それを16歳の男が書いたという時点ですごい。
シナリオとしては良く出来ていると思う。映像の方は見ていないからなんとも。
ただし、小説としては(これは原作者の責任ではないが)、何だかすかすかな感じ
がする。登場人物のキャラクターが最後までいまひとつ掴めなかった。なんとなく
頭の中では最終兵器彼女の登場人物が割り当てられていたのだが、そういうわけ
でもないらしい。思うにとにかく描写が不足しているのだと思う。SFたるもの
非日常な設定が背景にあるわけで、その非日常が何なのかという描写は、個人的に
詰めこみすぎるくらいのほうが好きだ。
連載も読んでいるけど、一応買っておく。
晶穂のぽっちゃりお腹、萌え。
うんまあ綺麗にまとまったかな、という感じ。もう一回最初から通して読めば、 もうちょっと深く読みこめそうな気はする。特に最後のあたりは、何かを主張 したくて、でもストレートに表現できなくて、登場人物が一所懸命叫んでいる のだけれど、なんとなく掴めないもどかしさを感じる。もしかしたら、単に 自分がおっさんになったからだけなのかもしれないけれど。 こういうところを読み手がすんなりと吸収できるような文章を書けられるように なると、もう一皮むけるのではないかと思う。
SFのSFっぽい面白さってのは、SF的世界設定を作った時にその設定から当然発生
することが帰結される事象なんだけど言われてみるまで気が付かないような出来事
がさらりと記述されていたりすること。そんな文章を読んで、そこに潜むSFマインド
を理解しちゃった時に、ああなんてSFなんだろう君と俺、と感激するわけだ。
そういう点で、女性作家が書くSFってのは、男性が思い至らないような部分を
気付かせてくれることがあるので面白い。これなんかも、そう。
移民惑星の興亡自体はよくある話しだけれど、その歴史の中の一人の女性が何を
感じて何を考えたかなんて、男性が想像するにはやっぱり限度がある。
女性作家の作品を読む度に、やっぱり男性と女性とでは作りだせるものに違いがある
のだという認識を改めて持つし、それだからこそ得られる異文化との接触に似た
感覚がとてもSF的なものに感じる。
だから、ライトノベルと呼ばれる分野って概ね男性読者と男性作家という構図が
多いのだけれど、「萌え」という作られた女性像ではなく、
異種の生命体としての女性の感性に触れることの面白さというのをもっと知るべき
なのではなかろうかとか思う訳だ。
ベタベタ。
ベタ過ぎ。だがそれが良い。
とりあえず、
(´Д⊂
泣け。買って読んで泣け。
レンズマンの新訳。発売と同時に買ってはあったのだけど、ようやく読みはじめた。
古き良きスペオペだが、あまり古さを感じない。新訳だけあって文体が古くない
というのもあるけど、SF的部分が適度にあいまいなので陳腐にならないというのも
あるのではなかろうか。それに「レンズ」という存在はやっぱり腐らないね。
ちょっとした理由があって一巻だけ読み直してみた。
こうしてみると、テレビ版のガンダムから「けれん味」をことごとく取り除いた
ものが小説版なような気がする。小説版を聖典とあがめる一派がいる一方で、
やはりガンダムを面白くしているのは「けれん」であるとも言えるわけで、
そう見ると安彦良和のジ・オリジンはガンダムの面白さを非常に良く抽出して
いるなあと思った。
富野は難しいことを考えすぎなような。
ところでガンダムAの対談(安彦vs高千穂)で、高千穂遥が「富野は最初に映像ありき の映像作家なのでガンダムは(科学的ガジェットがまず存在する)SFとは言えない」 というようなことを言っている。でもその割りに小説版のガンダムはSF的 解説を必死に盛り込もうとしているように見える。初代だけでなく、その後の Zガンダムも逆襲のシャアも。だからやっぱり富野氏は実はSFを作りたくて仕方が ないのではないかと思う。もちろん、現在存在しているガンダムのSF的部分の ほとんどは富野以外の周囲の人間がつくりあげた世界だとは思うけど。
終わってねーーーーーーーーーーーーーーっ。
でも次で最終巻だとか。最終巻は9月発売だとか。
実はこれを読んでいる間、右耳の調子が悪くて、タイミング的にちゃんとした医者の
診断結果も得られなくて、「もし右耳が聴こえなくなったら…」と不安に怯えながら
読んでいた。
前半の同じ空間を共有していながら同じ世界を共有していない不思議な恐怖から、
後半にその二人の間に接触が生じる過程がなんとも良い。
ちと頭をコバルトモードにする必要があったので。でもやっぱり俺文章に なっちゃうぞ。
一応御約束ということで書いておこう。
りさたん(;´Д`)ハァハァ
どのくらいハァハァかというと、 ここらへんから写真を見て下さい。
というわけで、最年少の17歳で文芸賞を受賞した作品なんだけど、正直文章と
してはとりたてて評価するところはない。ポイントは17歳が書いたという点だけ
だと思う。適当に力の抜けた女子高生の日常の描写とか、技術に対する甘い
描写とか、「高校生でこれだけ書ければ十分」というのと「高校生だから
書ける雰囲気かな」というのと、どちらにしても高校生というのが加点になって
いるのは間違いない。逆にこれは30歳のおっさんには書けないし、書いたとしても
評価されない。
それだけにプロフ受賞でしょ、とか叩かれるりさたんなんだけど、まあ次に
どんなものを書くかによって、評価が変わるだろうな。
少し装幀とタイトルを変えるとライトノベルでもいけそうなテーマだけど、 やっぱり文体が恩田陸なので微妙な不気味さがある。
他の恩田作品と比べると弱干テイストが異なる作品だけど、面白かった。
前半で様々なできごとの前振りが散りばめられ、途中まで読んだ段階で
ドミノというタイトルの意味が気が付く。おそらくこららのピースが最後に
次々と倒れて行くのだろうと。
おそらくそれなりに個々のピースが落ち着くべきところに落ち着くのだろうな
と予想はしつつもの、それがどんな形でどんなプロセスで進んで行くのかと、
興味が最後まで途切れない。
BOODLINKの外伝。
第一作では学年一の美少女という記号的な存在でしかなかった二人が、この一冊の
せいで命を持った存在になった。
一作目の批判を下に書いたけど、二作目はそれが改善されているように
思えた。内容的にも、一作目は導入部という印象が強く、二作目からようやく
本編に突入したという感じである。
そして甘く見ていたことを理解した。やっぱり一作目は導入でしかなく、
この作品の本当の痛みは二作目からでないと分からない。そして強烈に痛い。
前から噂になっていて気にはなっていたので買ってみた。
昨年後半に話題になったものというと、某所的にはBOODLINK、イリヤ、
戦略拠点32098 楽園なんだけど、イリヤ以外は個人的に文章のあらが気になる。
楽園は新人だから許すとして、BLOODLINKは内容はストレートに来たものの
文章がいまいちな印象を持った。ほとんど一文が一段落で一行で終わるという
文体が稚拙に感じるというのもあるのかもしれない。
恩田陸の本については、どれも同じ感想になってしまうのだけど、この人は
同じ日常を見ていても僕とは違うものを見ているのだなぁと思う。
その目に映る日常の中の非日常がそろりそろりと表現されて、それはとても
リアルでいてしかし非現実な出来事であるという恐怖を感じさせる。
確かに、チェンソー男はいる。いやいてくれたほうが、楽だ。形のない、わけの
わからないものと戦うくらいなら、チェンソー男という分かりやすいものと
戦ったほうがよっぽど張り合いがある。
そしてふと思う。一部の人間にとって、マイクロソフトっていうのは
チェンソー男ではなかろうか。
そう考えると、チェンソー男たるマイクロソフトが存在してくれているお陰で、
実は優秀な一部のエンジニアが研究開発に頑張れるのかもしれない。
何はともあれ、チェンソー男はいないにこしたことはないが、形のない何かと戦う
くらいなら自分のチェンソー男を見付けた方が、この世の中を生きるにはやりやすい
ということだな。
今の僕には、少なくともチェンソー男は必要ない。幸せなことだ。
これまでの4巻の中で、これが一番良い出来だと思うのだが、最初の通り魔の 存在がナゾ。
現在5月7日。ようやく第一部を読み終えた。疲れた。なんか変てこな日本語が
並んでいて非常に読みにくい。
6月16日にようやく読み終わった。終わってから後書きを見たら、世界観の説明とか
書いてあって、こっちを先に読んでから本文を読んだ方が分かりやすかったかも。
内容については、微妙です。ネタとして参考になるガジェットは沢山あるのだけれど、
おそらく原文で読まないと分からないと思われる言葉遊びっぽい箇所が多数なので、
いまひとつだった。
私は中国の歴史は全然詳しくないので、どこまでが史実なのか分からないが、 もし何から何まで作り話だとしたら、何ともまあ、すっとぼけた作者だろうと 思う。実に瓢々とした語り口で軽妙という感想が適切であろう。
なかなか手堅くまとまった魔法モノであった。ライトノベルのお手本という 感じだろうか。こういうのがさらりと書ける人が羨ましい。
畜生。猛烈におもしれえ。
一部の人間には強烈にヒットだろうな。一部の人間ってのは、
「ひきこもり」「アニオタ」「ロリコン」「エロゲオタ」「ジャンキー」「神経症」
それのほとんどが当てはまるオレみたいな奴。
ひきこもりに出会いが生まれて、事件が起きて、ドラマがあったとしても、
それでひきこもり解消!幸せ!となるとは限らない。
でもちょっとした変化は起こるかもしれなくて、それで良いのではないかと思う。
そのちょっとした変化が人間同士の関係で発生する「NHKにようこそ!」である
のなら。それはきっと小さな変化だけど、大きな改革に結ばれる可能性を秘めて
いる。でも、そんな将来の大きな可能性なんかどうでも良くて、目の前の小さな
変化が、たまらく価値のあるものに思えるのだ。
これまで読んだ恩田陸の作品の中で、一番怖いかもしれない。ホラーというわけ
ではなくて、人間の普通の生活の中のちょっとした不思議な出来事の描写の数々が、
何とも言えない恐怖を感じさせる。
この作品を、書き手の側から見てみよう。
作者は女性である。この作品は章ごとに視点を変えて、四人の登場人物の一人称で
書かれている。男性が2人に女性が2人。前半の女性→男性の流れでは、女性から
見た女性と男性から見た男性との差が感じられたが、第三章の男性はある意味
非常識な人なので、この章に来て男女の感覚の違いというのが薄められて、その代わり
に毒っぽいものが現れる。最後の章は女性視点だが、ここに来て、もっとも常識的で
ありながら非日常な描写が現れ、実はそれが一番の恐怖を感じさせる。
本当の恐怖は日常の中にこそある。
電撃ゲーム大賞銀賞受賞作。
受賞時のタイトルは「みークルズサゼスチョン/ポリッシュアップルズ」
これはまあ変えて正解だと思うけど。
元のタイトルがナニなので電波な話しかと思ったら、意外と文章はしっかりして
いた。ただし、読んでいるうちに、登場人物の行動とか心理描写とかが何の説明も
なくすっ飛んでいたりして、良く理解できないうちに無理矢理話が進んでいく
ような印象はあった。特に最後の方。一応ミステリーっぽい内容なので、謎解き
とかの部分がすんなり読み取れないので、ちんぷんかんぷんになった。そこが
残念だな。
電撃ゲーム大賞銀賞受賞作。
イラストも内容もエロゲーのシナリオという感じ。だけど、盛り上がりどころ
はちゃんとあって、後半の押えどころは良いと思う。でもあの終わりかたは
ちょっといただけない。もっと不透明か黒っぽくて良かったのではないかと
思う。
それにしても、こういう電波キャラが市民権を得ているというのは、日本という
国は恐ろしいな。
ところで、これも受賞時のタイトルは「無限大ゼロ」だったのに、キャッチー
なものに変更されている。しかもいかにもエロゲ風味。電撃はちょっと
方向性を考えたほうが良いのではなかろうか。
電撃ゲーム大賞大賞受賞作。
なんというか、平易に淡淡と読める。それほど激しい盛り上がりがないけど、
それもまた味の一つと言えないこともないと思う。ただ、無理矢理続き物に
したような感じがあって、そこは否めない。これで完結して(本題が未解決な
のは、それもまた主題の一つとして)もよいのではないかと思った。
ところで、作者は51歳だそうで、若手が沢山の電撃作家の中でどういう
ポジションになるのかというのも興味がある。
これの受賞時のサブタイトルは「長安の履児、虎の尾を踏む」だった
のだけれど、文庫では「洛陽の少女」に変更されている。
確かに洛陽の少女も出てくるけど、
その部分は全然本質ではなかったりして、なんか編集部の「少女も出ているぞ、買え」
って感じのあざとさが見えて、イヤな感じがする。
前作の魔法士の技のほうが、形而上的にとらえられるので説得力があった。
今回の技は確実な物理現象をともなうので、それと情報理論とを上手く
繋げるためのバイオテクノロジーなりナノテクノロジーなりの設定があった
ほうが良かったと思う。
でもこちらのほうがさすがに一年かけただけあって、デキは良かった。化けたと
まではまだ言えないかもしれないけど、次も買おうかという気になった。
ちゃんと手堅く面白い。どんどん狂っていくけど。この調子だと10巻くらいで
終わりそうだけど、それなりの長い作品でちゃんとまとまったものになることを
期待する。間違っても慣れ合いの終わりかただけはしてほしくないな。
7巻に関して言えば、演出とかはどんどん上手になっているのだけど、今回の話は
完結していないだけに、これまでの中では一番分かりにくかったように思う。
だから次の巻を早めに出してくれると嬉しい。
乙一って基本的に弱者の視点だよな。
実は映画のほうを先に見てしまった。映画は、小説版クロスファイアとその前身と なった「燔祭」とを足して三くらいで割ってドラマチックな演出を加えた感じ。 映画版で主演だった矢田亜季子の微妙なやぼったさがとても主人公のキャラと 合っていて、良いキャスティングだと思った。
この本を読みながらサイコパス(=異常人格障害者)の本を読んだのだが、 クロスファイアと符号する部分がある。というか、宮部みゆきが実に 正確に犯罪者の心理や特徴を描写しており、 「サイコパスであっても環境によっては有益であるかもしれない(例えば攻撃的 な性格は戦場では役に立つなど)」という点と、クロスファイアにおける主人公 の立場とが似ているように思える。違うのは、サイコパスは後天的であるのに 対してクロスファイアの主人公の能力は先天的であるということか。
デビュー作なんだけど、二つの話の流れが後半に向かって収束していくという 宮部みゆきのパターンはこのころから出来ていたのだなあ。
まー軽めのもの。お約束のかたまりという気もするけど、分かりやすい面白さ
というのは、それはそれで重要さと思う。
コールド・ゲヘナにしてもそうだけど、この手のはアニメ化すると良いのでは
ないかと思う。こうしてみると、コールド・ゲヘナのアニメ化が(製作会社が
潰れたからという理由で)没になったのは、もったいないことをした。
あとこの人、英文科を出ているだけあって、英語的言葉の使い方がとても上手い、
というか的確であると思う。そこらへんのセンスは読んでいて気持ちよい。
比べてはわるいが、下記の天剣王器では、その変が目茶苦茶だった。
多分彼(海羽氏)は、飜訳SFモノを読んで漢字にカタカナ語のルビという使い方を
覚えてそれをアレンジして使っているライトノベル作家、の書いたものを読んで
それを更にアレンジして使っているのではないかと思う。結果として勘違いの
出来上がり。
色々と話題の多い作者だけど、買ってみた。申し訳ないが、叩く人間の気持ち
が分かった気がする。おおまかなストーリー自体はそれほど悪くないのだけど、
読んでいて気持ちよくない。理由としては、
第6会スニーカー大賞金賞受賞作。
微妙に秋山瑞人風味であるけど、あくまでさわやかに終わる。結構評判は良い。
個人的には文章の書き方として、文中で視点が変化するのだけどその区別が読んでいて
分かりづらいというのがあった。だけど明らかに意図的に書き変えているので、
そこは裏目に出ているのではないかと思う。
二つのストーリーが一つに収束していく流れは秀逸。